Last Stage①


髪をビシっとアップにし、しっかりメイクをして、カッチリしたスーツを着て、ダテめがねをする

よし!
今日もバッチリ
どこから見ても秘書って感じだよね
まだ時間があるし紅茶でも飲んで、それから行こうかな

紅茶を入れてソファーに座り、テレビをつける

『花沢物産 御曹司 婚約か!?』

お相手の女性の写真が映ってる
花沢類が手掛けているプロジェクト関係の会社の社長令嬢らしい

そして今度は花沢物産前で生中継…
今日、この話題でマスコミは賑わっている

はぁ~
花沢類は一体何人とマスコミに勝手に婚約させられるんだろう。
本人はあまり気にしてないみたいだけど・・・

ピッ!
さぁ~て行きますか!
あっと!
イミテーション書類を忘れちゃ~いけないよね

高級マンションの最上階専用エレベーターに乗り、地下駐車場へ降りる
車に乗り込み、花沢物産へ向った

はぁ~
よく考えてみれば花沢類とただランチを取るだけで、すっごく大変なんだよね

元はといえば滋さんが…

あたしが国立T大学に入ってすぐ滋さんがあたしに内緒で映画のオーデションに書類を出してしまった

それが何故か審査を次々パスしてしまったらしく
「つくしなら絶対大丈夫だからぁ~」
と滋さんが抵抗するあたしを無理やり最終審査に連れて行き、何故かグランプリを獲得…

「普通にバイトするより絶対にいいよ!」

って言う滋さんの言葉に惑わされ、事務所と契約…
でもあたしは卒業したら花沢物産に入るって決めてたから、その理由を話し大学卒業までと期限を付けてもらった
その時は事務所の人も、花沢類との事だけ、バレない様に気をつければいいと、快く了承してくれたんだけど…

その出演した映画で、新人賞を取ってしまって

その後
映画やドラマの他に国立T大って事でコメンテーターにまで仕事の依頼が殺到

あっという間に大学4年になった時、事務所の人に泣きつかれ、卒業した後、1年間だけ芸能界に残る事になった

やっぱりと言うか…

花沢類に話したらすっごくムッとされて、一緒に住む事を条件に取りあえず了承してくれたけど…

でもこんな生活も後半年我慢すれば…