あれ、牧野…
なんで朝から総二郎の車で来てんの?
しかも手なんか繋いで…
まさか総二郎もって事?
なんかムカつくから帰ろっかな
「よぉ!類、今日は随時と早え~な」
ホントこんな早く来なきゃよかった
「もう帰る」
「はぁ~?なに言ってんだよ、類。せっかく来たんだから、カフェでも行こうぜ」
もう、あきらのお節介
ここにいる気分じゃないのにさ
「ねぇ~西門さん、教室まで送らなくてもいいから」
「いや、どこで見てるか解んねぇ~からな」
っていうかさ、本当に困ってるみたいだよね
モテすぎるのも問題だわ
「ん~でもさ、すっごく大騒ぎになっちゃうから、その…手は離さない?」
「俺は別に構わないけど、つくしちゃんは類に見られたくないのかな?」
「なっ///今度つくしちゃんって言ったらもうやらないからね!」
まったくもう!
何でいきなり
花沢類が出て来るのよ///
「牧野、類の話をするとすぐ真っ赤になるんだな、ハハハッ!」
「う、うるさい///もうあたし行くから、じゃ~ね」
「あっ、牧野、昼迎えに行くから待ってろよ」
ホント牧野も類も早くくっつけばいいものをなにぐずぐずしてんだか
俺だったら考えられないね、あんな純愛
まぁ~
羨ましいって気持ちもあるけどな
「よぉ!あきら。おっ!類、今日は随分早え~んだな」
早く来たせいで、変なトコ見ちゃったんだけど、総二郎
「なんだ、類?来て早々睨み付けんなよ、怖え~な」
「総二郎、朝のなに?」
「はぁ~?朝って…あぁ~牧野と来た事か」
来ただけじゃないでしょ
牧野と手繋いでたよね
「なんで?」
「んな、怖え~顔すんなよ。ただ途中で偶然会ったから車に乗せただけだって」
「ふ~ん、それだけ?」
「あぁ、他になんもねぇ~から」
総二郎
なに隠してんの?
手を繋いで歩いてるトコ、見られてないとでも思ってるの?
「随分と仲良さそうに歩いてたみたいだけど?」
「そうかぁ~?いつもと変わんねぇ~よ」
ふ~ん
いつもあんな風にしてるんだ
知らなかったよ、総二郎
「朝から三人お揃いで、珍しいですね」
「あぁ、三条か」
「西門さん、今朝のアレはどうしたんですか?でも最近やたらと先輩、モテまくってますから、いい牽制にはなりましたけどね」
「そういえば牧野、この間コクられてたトコ見たな。まぁ~相変わらず鈍感だから相手のヤツ撃沈してたけどよ」
俺も何度か見たことがある…
この前も男から手紙もらってたし
俺が近づいたら、そいつ慌てて逃げて行っちゃったけどね
「司と別れて半年か…最近牧野、可愛くなったし、手出すヤツも多いだろうな」
あきらも総二郎もその中の一人じゃないよね?
「おい、類。どこ行くんだ?」
「眠いから非常階段に行って来る」
「まったく、類は…でも総二郎、一発目から上手くいったんじゃね?」
「予想以上にいい反応してくれたよな」
「今朝の事といい、二人とも何を企んでるんですか?」
なんか今日は朝から変なトコ見ちゃうし、最悪なんだけど
せっかく聴きたい講義があって早く来たのに、聞き逃しちゃったしさ
でもまさか総二郎もとは思わなかったんだけど
あきらは牧野の事、好きだって解ってたし、一線置いているみたいだから安心してるけど
総二郎は…
普段チャラチャラした女ばかり相手にしてるから、返って牧野みたいなタイプに弱いのかも
幼馴染の事もあるし…
まっ、でも
今度は誰にも渡すつもりはないから別にいいけどね
ガラガラ
『キャ~!!!』
『花沢さんよぉ~!!!』
あ~もう、うるさい
…あれ、牧野
「ねぇ~あんた、牧野知らない?」
「は、花沢さん…なんでいつもあのボンビー牧野ばかり…ブツブツ」
「早く教えてくれない?」
「あっ、はい。西門さんが来て連れて行きました。おそらくカフェだと…あっ・・・あん!せっかく花沢さんとお話できたのにぃ~」
総二郎が?
なんで…
牧野いた…
いつもは非常階段でお弁当食べてるのに
「ま~きの、その黄色いの食べたい」
「あっ、花沢類!卵焼きね、はい」
「うん、美味しい」
「花沢類はホント卵焼き好きだよね」
イタッ!
な、なによ、西門さん
蹴る事ないでしょうが
ハッ!
いけない…偽りの彼女中だった
もう、そんな睨まなくたっていいじゃない…
「なぁ~牧野、俺のランチとお前のお弁当取替えようぜ。たまには庶民の味もいいしな」
「エッ!?あっ…うん」
「ありがとう、牧野」
ななな///
お、お礼言うだけで頬を撫でて、そのスマイルはやりすぎでしょ?
俺に喧嘩うってるの?
牧野の頬触って微笑んで…
牧野もなに?
総二郎にお弁当あげちゃってさ
「見たことない物ばっかりだけど、牧野、ホント美味いな」
「そ、そう?ありがと///でも今日あたし、それ食べたくて作ったんだけどな」
「あ?どれ」
「そのアスパラの肉巻き」
「あぁ、これさっき食べたけど美味かったな。ほら、牧野」
エッ!?
な、なに???
もしかしてあたしに食べさせるっていうの///
「なにやってんだ、早く食べろよ」
ホント西門さん
やりすぎだよ・・・はぁ~
「先輩と西門さん、どうしたんですか、超ラブラブって感じですよね?」
ホント
食べさせてもらっちゃって
牧野、ラブラブじゃん
「牧野、フリーなんだから総二郎と付き合ってみるのもいいんじゃね?大事にしてくれっかもよ」
あきら、なに言ってんの?
冗談でも止めてくれない
「なっ、何で!?あ、あたし別に西門さんなんかに大事にされなくたっていいから!」
「おいおい、牧野、なんかにって…俺でも一応傷つくぜ」
ククッ
牧野に手を出そうとするからだよ、総二郎
「だ、だって美作さんが変な事言うから…」
「変な事かぁ~?俺は別にかまわないけど、牧野」
ちょっとホントやりすぎだよ…
花沢類も見てるのに
ヤダ…
「に、西門さん、手離してよ…」
総二郎、悪いけど限界だから
「牧野、ちょっとおいで」
エッ!?
は、花沢類…
「上手くいったんじゃないですか?」
「おそらく非常階段だろ、行こうぜ!」
は、花沢類!?
ど、どうしたの、急に…
「は、花沢類、手痛いよ」
キャッ!
あ、あの…
いきなり抱き締めて…
こんなトコ人に見られたら///
「ねぇ~牧野、もう限界なんだけど」
「エッ!?あっ…今日の事は…え~と」
ど、どうしよう…
西門さんに口止めされてるし
「牧野、俺の事どう思ってるの?」
い、いきなり
そんな…///
「す、好きだよ」
「だったら、牧野…」
「「よっしゃ~!!」」
エッ!?
ななな、なに???
なんで西門さんと美作さんが…
「先輩、ようやくですね」
さ、桜子?
どういう事…なの!?
「まったくよ、お前らなかなかくっつかないから、俺らが協力してやらねぇ~とな」
「良かったな、牧野」
に、西門さん?
じゃ~あの偽りの彼女役は…
「総二郎、あれちょっとやりすぎ。まじムカついた」
「悪いな、類。でも牧野と上手くいったんだから良かったんじゃね?」
え~と…みんな演技だったって事なんだよね!?
って事は…あたし騙されたの?
「良いも悪いも、俺と牧野、一ヶ月前から付き合ってるし」
「「「ハッ?」」」
あっ、もう
花沢類なんで言っちゃうかな///
「はぁ~?どういう事だよ、類」
「色々騒がれたくないから、ばれるまで内緒したいって牧野が言うからさ」
ヒョエ~
みんなして睨まないでよ
「ご、ごめん…」
まったくよ
騙してたつもりが、騙されてたって事かよ…
まぁ~よく考えてみれば、司ん時も牧野の決心がつくまで内緒にされた事があったよな
ホント忘れてたよ、牧野が秘密主義だって事
でもやっと牧野の幸せな顔見れて良かった
司の時と同じにならないように、今度は俺らもきちんと見守るからな
類なら大丈夫だろ、幸せになれ、牧野
fin
2008.10.23