3つのお願い

ホントにマイペースだよね、花沢類は…
あたしなんか、一生分の驚きと焦りを味わった気分だよ
今日はこれ以上やられたら…
さっさと残りのお願いをクリアしなきゃね

「花沢類、2つ目のお願いってなに?」

「ククッ、牧野、安心して。2つ目は簡単だから」

簡単とか言ってホントは…
なんて事ないよね!?

「牧野その目、疑ってるでしょ?」
「そ、そんな事ないよ」

ククッ
ホント牧野は解りやすいよね

「2つ目はこれから一緒に食事する事。簡単でしょ」

ヘッ!?
そんなのでいいの?

「フフッ、そういうお願いならいくらでも喜んで叶えるよ!」

1つ目のお願いは、すっごくビックリしたけど
2つ目はホント最高♪
美味しい料理は食べれるし花沢類と一緒にいられるし///

フフッ、幸せ♪
あっ、そういえば…

「ねぇ~花沢類、あたし明日から花沢物産で何の仕事につくの?」
「そんなの決まってるでしょ」

ん…
今まで経理の仕事だったから、それ系かな?

「どこの部署?」
「秘書課、もちろん俺の秘書だから」

ふ~ん
秘書か……えぇ!?

「ま、待って、花沢類。あたし絶対ムリだから!やった事もないし」
「大丈夫だよ、牧野は第3秘書だから」

第3だろうが秘書は秘書でしょうが!
もう!
ホント1つ目のお願いって一番厄介なんだから
とにかく早くお願い事を終らせて、後でじっくり秘書の事は考えよう

「花沢類、3つ目のお願いはどういうの?」
「ん~3つ目は…叶えてくれても、叶えてくれなくてもどっちでもいいよ、牧野が決めてね」

エッ!?
花沢類…何で寂しそうな顔してるの?
3つ目って…

「牧野…司の事、まだ好き?忘れられない?」

エッ!?
道明寺の事?
な、何で今更…

あっ、そうか
花沢類がフランスに行ってからすぐに道明寺と別れたから…
理由は本人を目の前にして絶対に言えないけど

「もう道明寺の事は何とも思ってないよ。別れたのだって前みたいに無理やりじゃなくて、きちんと話をしてだから」

あたしの一方的な我が儘だったけどね…

「さっきも言ったけど、牧野が決めていいからね。3つ目のお願いは…牧野、俺と付き合って」

エッ!?

「牧野が司と付き合ってる時もずっと好きだった。フランスにいる時も、そして今も牧野が好きだ」

いや…
な、涙が止まらないよ…
どうしたらいいの

「牧野、大丈夫?泣かないで」

花沢類…ホント優しいよね

「あ、あのね…道明寺がNYに行って、1年後に花沢類がフランスへ行って…それで気がついたの、自分のホントの気持ちに…だから道明寺と別れて…」
「牧野のホントの気持ちって、俺の事…」
「うん、あたしは花沢類が好き…で、でもね、あたしは花沢類の親友の元カノだよ」
「そんなの関係ないよ」
「あたしはお金持ちじゃないし、きっとまた反対される…」
「ククッ、その事はまったく気にしなくて大丈夫だよ。クリア済み」
「で、でも…」
「俺は俺の目の前にいる牧野が大好きだ。もう一回聞くよ、牧野、俺と付き合ってくれる?」
「う、うん///」


コンコン

「専務、お茶をお持ち致しました」
「どうぞ」
「失礼致します」

はぁ~まったく白々しいんだから
1日に何回お茶持って来させるのよ、花沢類は!

「こちらに置いておきます。では」

ピ~

『斉藤さん、牧野さんに手伝って貰う事があるからちょっと借りるよ』

なっ…ちょっともう!

「花沢専務、何をお手伝いすれば宜しいのですか?」
「クククッ、牧野座って」

す、座ればいいのね
それで?
花沢類はなに悠長に紅茶を飲んでるワケ?

「あの・・・専務?」
「せっかく2人きりになったんだから、専務はやめてくれない?」

はい?
なに言ってんのよ、花沢類は・・・

「花沢専務、最初に申し上げた事、覚えていらっしゃいますか?」
「うん、覚えてるよ。公私混同はしない、みんなにバレないようにするって事でしょ」

解ってるなら用事もないのに呼び出さないでよ
まったくもう!
これじゃいつバレるかヒヤヒヤじゃない

「俺今、休憩時間だし、牧野が悪いんだよ」

ヘッ?
な、なんであたしが悪いのよ!

「あ、あたしが何かなさいましたか?」
「だっていつも俺に素っ気ないクセに他の人とはニコニコ楽しく話しちゃってさ」

はぁ~?
そんなの当たり前でしょうが
どこの会社にただの平社員が専務と楽しく談笑しているトコがあるっていうのよ!

「おっしゃっている意味が解りませんが」
「ふ~ん、いつまでも牧野がそんな態度なら俺、仕事しない」

もうお子ちゃまじゃないんだから…

「もう、解ったわよ、2人の時は普通にするから、ちゃんと仕事しよ、花沢類」
「牧野がキスしてくれたらいいよ」

はい?
花沢類、それはちょっと図に乗りすぎ

「ダメ?」

ああん、もう!
ビー玉の目で寂しそうな顔しなでよ…

チュッ!

「ククッ、牧野ありがと!じゃ~仕事するからもう戻っていいよ」

まったく…
こんなんでこの先ホントに隠し通せるんだろうか…

っていうより
秘書、やっていけるの?
あたし…

fin
2008.10.15