代償の果てに⑦-4


ヤダ、本当にクッキーがついてたんだ
ホント恥ずかしい

はぁ~
このままでなんて言われてもなぁ…
道明寺に見られてたのは、少しなんだから、今からだったら何とか誤魔化せるかもしれないし
花沢類に何かあったら、あたし…

でもさっきの言葉、ホント嬉しかった
ありがと、花沢類

「お待たせ致しました」

な、なに笑ってるの?

うわぁ!
ちょ、ちょっとそんな覗き込まなくても…
あっ、もしかしてまだクッキーついてるとか?

「もう帰ろうかな」

ヘッ!?
な、なに言ってるの、花沢類

「どうかされました?もしかしてご気分が悪いとか…」

でも笑ってたし、顔色も悪くはないけど

「牧野が信じてくれないから、帰る」

なっ、ちょっと待ったぁ~!

「あの…花沢支社長?」
「じゃ~ね」

エッ!?
ヤ、ヤダ…本当に帰っちゃうよ

「解りました。いつもの通りに致しますから…もう、花沢類!」
「ククッ、みんな待ってるから行こ」

悠長に微笑んじゃって
まったく花沢類は…

ホント知らないからね
よし、もうこうなったら今日一日、素で通してやるんだから

「司、随分遅かったね。今日は来てくれないのかと思った、クスッ」

うわぁ!
もう道明寺の前だった

「フン!誰のせいだと思ってんだ?」

もしかして道明寺が遅れたのって、花沢類が絡んでるの?

「ククッ、仕返し」
「チッ!」

うぉ!
い、いきなり睨まないでくれないかな、道明寺…

「牧野、随分と楽しそうだな。仕事中だぜ、解ってるよな」

わ、解ってるよ…

「なに怒ってるの、司。牧野ならちゃんと仕事してくれてるけど?」
「俺は牧野に聞いてんだ」

だよね…
仮面つけてないのがモロバレなんだから

「道明寺支社長…」
「クククッ」

は、花沢類?

「なに笑ってるんだ、類」
「牧野、司の秘書の時とはイメージが全然違うから、司、羨ましいんでしょ、クスッ」

そ、そんなケンカを売るような言い方…
マズイでしょ、花沢類

「あぁ?」

ホラホラ青筋が…

「だって司といる時の牧野って堅苦しくって、可愛くないからさ」

悪かったわね、花沢類
仕方ないでしょ
あの鉄の女に鍛えられたんだから、可愛くなくなるっつ~の!

「フン!仕事中は仕方ねぇ~だろ」
「ふ~ん、じゃ~プライベートでは可愛いんだ、牧野」
「フフン、まぁ~な!今日よりずっと可愛いぜ」

はぁ?
何言ってるのよ、道明寺は
口調は普通になるけど、プライベートでも変わらないでしょうが!

「クスッ、そうなんだ」

ちょっとヤダ
花沢類が誤解しちゃったじゃない

「今日はさ、パーティーだから親しみやすい雰囲気でって牧野に頼んだんだよね。でもこんなに演技が上手いとは思わなかったよ、クスッ」

エッ!?
演技って…
道明寺が来れないって聞いたから、ただ自然にしてただけなんだけど…

「それじゃ~マスコミが騒いでた婚約つ~のも話題作りの演技なんだよな、類」

ゲッ!
もう道明寺、知ってるだ

「あ、あの道明寺支社長、それは…」
「聞かなくっても、そんなのプライベートでも牧野と一緒にいるんだから、司が一番解ってるでしょ」

はぁ~
やっぱり思いっきり誤解されてるよ…

「じゃ~類、その指輪はなんなんだ」
「指輪?あ~手だけ何もしてないと変だから、つけただけだけど」

チッ!
類のヤツ、とことん誤魔化してきやがる

「道明寺支社長、これは本当にお借りしたたけですので」

まったく牧野は…
類がお前にあげる為に買ったって普通は解るだろ

「フン、今日一日は類のパートナーなんだから好きにすればいい」

チッ!
言った途端に牧野のヤツ、ホッとした顔しやがって

「じゃ~お言葉に甘えて、好きにさせてもらうかな、クスッ」
「は、花沢支社長!」
「あっ、牧野、秘書になってる…」

チュッ!

「なっ…」

お前ら俺様の目の前で、なにやってんだ

「これから秘書バージョンになる度にキスするからね、クスッ」
「わ、解ったから、ちゃんと普通にするから」

なにイチャついてんだ

「ククッ、司が恐い目で睨んでるから、行こ。じゃ~司、一日我慢してね、クスッ」

チッ!
類のヤツ
調子に乗りやがって
このままだと…

「総二郎!あきら!お前らパーティー終わったら、俺様のマンションに来い!」
「司、いきなりなんだよ」
「お前らに話がある。桜子、悪いが連れて来てくれ。滋、お前にも話があるから先に帰るぞ」
「おい、司!来いって牧野と住んでるマンションにか?」
「あぁ、今日は牧野はこのホテルに泊まるから帰って来ない」
「解りました、道明寺さん。お二人を連れて行きますから」
「あぁ、悪いな。頼む」

二人に協力して貰わねぇ~と、類が暴走しかねぇ~からな
そうなったら俺様の計画が…