あきらの悲劇 Part2①


「あきら、三年後に牧野返して。もちろん何があったら解ってるでしょ。じゃ、よろしく」

類…
お前…ふざけるなぁ~!!

勝手に牧野が美作商事を受けて
勝手にお前らが入社を決めて
勝手に俺に面倒見させて
終いには三年後に返してくれだぁ~
類、お前の女なんだから自分で面倒見ろ!

しかも類のヤツ、冷やかな目で睨みやがって
ちくしょ~なんで、なんで
俺は断れないんだ!

はぁ~
ホント損な性格だぜ

仕方ない…面倒見っか
まぁ~牧野は優秀だから覚えるのも早いだろ
とりあえず明日はただの入社式だから何もねぇ~よな

バン!

「あきら、テメェ~、牧野を引き抜きやがって、ふざけんじゃねぇ~ぞ!」

ゲッ!
なんで司が…
まさかこの為に、わざわざNYから帰って来たんじゃねぇ~よな

「司、落ち着けって!これには色々事情が…」
「あぁ?類のトコならまだしも、なんであきらなんだ!今から俺様のトコに入社するようにしろ!ふざけやがって」

いやいや、ふざけてんのは司だろ
そんなの無理に決まってるじゃないか

「類と牧野が勝手に決めたんだ、俺はなんにも出来ないぜ」

だからお願いだから、おとなしく退散してくれ、司

「牧野と類呼べ」

はぁ~!?
自分で行けばいいだろ
頼むからこれ以上俺を巻き込まないでくれ

「類なら今、帰ったばかりだぜ」

だから司も帰れ
俺はもう明日からの事を考えると、牧野風に言うと、いっぱいいっぱいだからな

「あきら、なにブツブツ言ってんだ?気持ち悪いヤツだな。いいから早く電話しろ」

気持ち悪い呼ばわりの上に命令かよ
まったく…
はぁ~でも何だかんだ言っても、やっぱり引き受けちゃうんだよな、俺って…

プルルル…
ピッ!

『なに?俺もうあきらに用事ないけど』

おいおい、類まで自己中なのかよ…

『いや~な、司が来てんだよ、ココに』
『ふ~ん、だから?』

言わなくても解るだろ、まったく

『類、悪いけどもう一回来てくんねぇ~か?司が話があるってよ』
『クククッ、司もしつこいよね。でも行かない、これから牧野と会うから。じゃ~ね』

ピッ!プープー…

はぁ!?
な、なに勝手に切ってんだよ!
ちくしょ~

ピピピ…ピッ
プルルル…

『あれ、どうしたの、美作さん、じゃなく美作専務かな?ハハハッ!』

随分と能天気だな、牧野…

『いや、会社にいる時だけでいいから。それより今から類と会うんだよな?』
『うん、そうだけど…なんで?』
『類と一緒に会社に来い。司が待ってる』
『エッ!?道明寺が…なんかイヤな予感がするから行かない…』

おいおい、お前も類と一緒か!
場所は提供してやるんだから、さっさと解決してくれよ

『行かないじゃね~だろ、お前らからきちんと説明しろって』
『え~だって面倒くさい。それだし関係ないじゃん、道明寺は』

まぁ~確かにそうだけどな
司にしてみれば大ありなんじゃね?
結婚するまでは諦めないらしいからな

『そんな事言わずに、取り敢えず来いよ』

逃げてても無駄だぜ
しつけ~からな、司は

「なにチンタラしてんだよ、あきら、携帯貸せ!」

うぉ!お、おい…

『牧野、グダグダ言ってねぇ~で早く来い!解ったな』

ピッ!

強制かよ、司
でもまぁ~これで牧野も来るだろう

「おい、あきら」
「なんだ?」
「んなトロトロしてんじゃ~大事な商談も決めらんねぇ~ぜ」

お、大きなお世話だ!!