陸の育児①


「つくし~!遊びに来たよぉ~♪」

タタタタッ
ドン!

ウワァ!
も、ももちゃん!?

「よぉ!陸」

翔…何でフランスにいるの?
っていうか、ももちゃん
そんなにギュウギュウ抱きつかなくても…

「さすがに司の子よねぇ~来て早々、陸君に突進するなんて!ハハハッ」

滋おばさん、笑い事じゃないんだけど

「滋さん、どうしたの急に…道明寺がこっちに出張とか?」
「ううん」

どうやら夏休みの間ずっとフランスにいるらしい
NYにいてもツマラナイからって、司おじさんがなんか叫んでたらしいけどムシして来ちゃったって…
そんなんで大丈夫なの?
司おじさんカッコいいから、浮気とかされても知らないよ

って翔…
さっきからすっごく気になるんだけど

「翔、さっきから何ソワソワしてんの?」
「いや…まぁ~…る、月はどこいんだ///」

ククッ
翔は来て早々、俺より月って事か

「友達の家に行ってるけど」
「ふ~ん、そうなんだ…」

司おじさんとホントそっくりだよね
翔、そんなガックリしなくても

「ククッ、翔、そんなに月に会いたかった?」
「ばっ///んな事ねぇ~よ!」

プッ!
翔って面白い

「ふ~ん、そうなんだ。もう戻って来ると思うけど、翔がいたら月きっとすっごく喜ぶんじゃない」
「そ、そりゃ~俺様が来てやったんだ、そんなの当たり前だろ///」

クククッ、今度は嬉しそうな顔しちゃって
翔ってホント単純

「ただいま!ママ、どなたかお客様がいらしてるの?」

ププッ!
月の声聞いただけで、翔…
顔…真っ赤…ククッ

「月ちゃん、相変わらず可愛いわね!」
「ウゲッ!く、苦しい…し、滋おば様!?…はぁ~はぁ~お、お久しぶりです。おば様も変わらずお若いですね…あれ、か、翔君!?」
「よぉ///」
「ももちゃん~!すっごく可愛い♪」

プッ!
翔、ムシされてる

「陸君、月にも抱っこさせて!」

月にももちゃんを渡すと
僕の時と同じでギュウギュウと抱きつく
月の事も気に入ったって事かな

イタッ!

「陸、お前笑ってんじゃねぇ~よ!」

もう…翔ったら乱暴
ムシされたのって、僕のせいじゃないでしょ
まったく
ここにいるとうるさいから、部屋に行って本読も

リビングを出ようとした瞬間

タタタタッ
ガシ!

ももちゃんに足を掴まれる
もしかして行くなっていう事?ももちゃん…

「ハハハッ!陸、ももちゃんヨロシクね、ママ達お買い物してくるから」

はい?
ヨロシクって…
オムツとかミルクとか、まったく解んないけど…
っていうか、僕の事何歳だと思ってるの?

「大丈夫よ、陸君!ベビーシッターさんがいるから」

そう言うと、そそくさ言ってしまった

ちょっとさ
翔達がこっちにいる間、ずっとこんな状態じゃないよね
夏休みの間に、読みたい本が沢山あったのに、こんなんじゃ…

あっ!

「ももちゃん!本なんか舐めちゃ汚いよ」

あ~ぁ
ビチャビチャ…

ん?
月と翔がいない…
まったく
僕一人で面倒みろって事?
勘弁して欲しいんだけど


う~ん…
なんかうるさいんだけど
静かにしてくれないかな、やっとももちゃん、寝かしつけたのに…

カシャ
カシャ

ん?
2人して何してるの

「あん!陸、起きちゃダメじゃない。せっかく可愛い寝顔の2ショット撮ってたのにぃ~」

はぁ~
まったく呑気な母親達…
そんなのいいから、とりあえず早く部屋、出て行ってもらわないと

「しぃ~!やっとももちゃん寝たんだから静かにして」

うるさい母親達を黙らせ、そぉ~と部屋を出た

結局、ベビーシッターさんがミルクをあげても飲まず、僕が飲ませ、オムツも駆けずり廻ってさせてもらえず、ベビーシッターさんに教わりながら僕が取りかえた
お昼寝の時間になっても寝てくれなくって

「陸様にお会いして、大分興奮しているみたいですので、お風呂に入れば落ち着いて寝てくれるかもしれませんね」

ベビーシッターさんの言う通り、お風呂に一緒に入り、もちろん手伝って貰ってだけど、ようやく落ち着いて、寝てくれて…
慣れない事をしたせいか、僕も一緒に疲れてウトウトしている所に、呑気な母親達のお帰り…

「陸君、ありがとねぇ~お礼にお土産があるからね!ほら、見て美味しそうでしょ?ここのケーキは絶品なのよぉ~♪」

滋おばさん、たしか知ってるはずでしょ
僕が甘いもの、苦手なんだって…
お土産って言って、自分が食べたかっただけじゃないの?

「ねぇ~陸。翔君と月はどこにいるの?」

あっ…
そういえばどこ行ったんだろ
使用人の人が、どこかにお買い物に行って戻ってから、部屋にこもりきりだって

部屋に行ってみた
テーブルに2人でうつ伏せになって寝てる…