心の扉⑨-2


道明寺にメールをしても返事はなしか
きっと日本に来る為に忙しいんだろうな
フフッ、青筋が出っぱなしだったり

「おはよう、牧野さん。今日は朝から楽しそうだね、何かいい事でもあったのかな?」

や、やだ
独りで笑ってるとこ見られちゃった

「お、おはようございます。あの川島部長、昨日のプレゼント・・・」
「喜んでもらえたかな?みずきと一緒に牧野さんに似合いそうなドレスを選んだんだけど」

やっぱりドレスだったんだ
昨日は疲れちゃって本当はまだ見てないんだよね

「は、はい!でも頂く訳にはいかないので・・・」
「無理にお願いしたんだから、それくらいさせてくれないかな」

やっぱり川島部長のドレスを着ないといけないかな

「そ、それでは今回は・・・ありがとうございます!」
「きっと似合うと思うよ。楽しみにしてるね」

まぁ~これからもパーティーはあるだろうし、その時に花沢類と道明寺から貰ったのを着ればいいか

プルルル  プルルル

『はい、川島部長室です』
『牧野、おはよ』

げっ、
は、花沢類

『お、おはようございます』
『昨日、牧野に電話したのに全然出てくれなかったね』

だ、だからって内線に掛けてこなくても・・・

『す、すみません・・・色々と忙しくて』
『川島部長だっけ?電話代わって』

へっ?
花沢類が川島部長に何の用事があるの!?

『牧野、時間ないから早くして』
『あっ、はい。畏まりました』

あっ・・・
みずきさんの事かな
明日は就任式&婚約発表だもんね

普通にしていられるのかな
あたし・・・やっぱり見たくないよ

「牧野さん!早速、花沢支社長から仕事の依頼が来たよ」

あれ?
みずきさんの事じゃなかったんだ

「仕事の依頼って・・・も、もしかしてあたしにですか?」
「そうだよ。何処か牧野さんに行って貰いたい所があるから12時に駐車場へ来るようにって言ってたよ」

はい?
行って貰いたい所って・・・
どこに行くのよ
もしかしてまた美作商事!?
みんなに話しちゃったのかな

「あのでも仕事が・・・」
「代わりの秘書を用意するって。ハハハッ、こんな感じじゃ、いつまで内緒に出来るかね」
「す、すみません」

はぁ~
ただでさえ忙しいのに引き継ぎもしなきゃいけないなんて・・・

まったく花沢類は!
こんなんじゃ、仕事とプライベートは分けて貰わないと、ずっと振り回されそうだよ



「牧野さん、もうそろそろ行かないと」

やだ、10分前だ!

「はい、それでは後はよろしくお願いします」
「あっ、待って、牧野さん。明日は家へ迎えに行くからね」
「そんなわざわざ大丈夫ですよ。5時半頃、ホテルのロビーにいますので」
「そう?分かったよ。それじゃ~明日ね」

早くホテルの美容室に予約入れなきゃ
とりあえず車に乗ってから電話しよう

「お待ちしておりました。牧野様、どうぞ中へ」
「すみません、ありがとうございます。あのこれから何処に行くんですか?」
「お車に乗られてからお話を致しますので」

ホント何処に・・・

「お久しぶりです、先輩」

えっ?
さ、桜子!

「帰国してるのに連絡をしてくれないなんて随分冷たいんですね」
「ご、ごめん。え~と、その・・・色々事情があって・・・」
「後で聞きますから、とりあえずは先輩の家へ行きましょう」
「あっ、うん」

って言うか花沢類、仕事の依頼って言ってたよね?
桜子と関係があるのかな
でもあたしの家に行って何をするの?
もしかして打合せとかしてから何処か行くのかな

桜子、この高級マンションを見ても驚きもしないっていう事は、やっぱり花沢類から色々聞いてるんだろうな

「どうぞ、上がって。お茶でも入れるね」
「そんな暇ないですよ。先輩、明日のドレスとかは何処にあるんですか」

ドレス!?
どうして?

「えっと、ここにあるけど」
「先輩、いくら花沢さんのパーティーだからって、こんな気合を入れて買い込んだんですか?」
「ち、違うよ!花沢類と道明寺と川島部長から送られて来て・・・」
「ホント相変わらずセレブにモテモテですね」

いや、モテるとかそんなんじゃないと思うけど

「とりあえず全部持ってホテルへ行きますよ」

ホテルって・・・どうして?
何が何だか分からないんだけど・・・

「先輩の事だからヘアメイクの予約も取ってないんじゃないですか?」
「ハハハッ・・・さすがは桜子、よく分かってるね」
「パーティー当日の予約は当然いっぱいだって分かってますよね?」

えっ!?
あっ、そうか
全然考えてなかった・・・

「ど、どうしよう」
「ホント先輩らしいですね。明日、ホテルの部屋へ私の専属のヘアメイクの人を呼びますから大丈夫ですよ」
「桜子、ありがと!ホントあんたって凄いわ」
「お礼なら花沢さんに言って下さい。ホテルの部屋を用意してあるから先輩を頼むって電話があったんで」

花沢類が!?
自分の方が余程大変なのにあたしの事まで・・・
でも本当にピンチの時の花沢類だよね
ありがと、花沢類

「先輩、何してるんですか。荷物はそのままでいいですから、早く行きますよ」
「行くってどこに?」
「お昼を食べたら、もちろんエステスペシャルコースです」