Uneasiness⑫-1


あれから1週間

花沢類のお父様が、婚約の事も含めて、一切報道されなくなったのは道明寺財閥がマスコミに圧力をかけたからだと教えてくれた
マスコミに追いかけ回されなくなったのは良かったけど、何となく引っ掛かる…

道明寺ときちんと話をしなきゃいけなかったんじゃないかって

そしてこの1週間の間に、一つだけ大きな変化があった
滋さんがNYに行ってしまった事

みんなには

「パパの元で修行しろって言われちゃったからNYに行って来るね!たまに帰って来るし、何年も行ってるワケじゃないからさ」

そう言って、いつものように元気に笑いながら日本を発った

でもね、滋さんがNYに発つ前日、花沢邸に来て、滋さんのホントの気持ちを聞いたの

道明寺の記憶が戻るのをずっと待ってた
記憶が戻って、やっと本気でぶつかって道明寺の心の中にあるあたしと闘えるって

「今まで何度も撃沈してるけど、でも司が好きっていう気持ちは変わらない。今度こそ掴まえてみせるから見守ってて!」

真っ直ぐな目でそう言った、滋さん
すっごくキレイだった

「あんたさ、今までで一番いい顔してる」

きっと張り詰めてたんだと思う
花沢類の一言で、ポロポロ泣き出してしまって…

滋さん…ごめんね
あたしのせいで

滋さん、道明寺そして花沢類の為に、あたしがきちんと道明寺に向き合わなきゃいけない…

きっとそこから何もかも始まると思うから



「大河原滋様がお見えですがいかが致しますか?」

あぁ?
滋が…何しに来たんだ

「10分休憩だ。通せ」

コンコン

「つかさぁ~、忙しいのにいきなり来ちゃってごめんね!」

ふん
相変わらずうるせヤツ

「何でNYにいんだ?」
「もう司ったら会って早々不機嫌にならなくてもいいじゃん!」
「あんま時間ねぇ~んだわ」
「ハハハッ、そうだよね、あのさ私、しばらくこっちにいるから挨拶しにきただけだから。今度ゆっくり邸の方に遊びに行っていい?」
「んな暇ねぇ~な。それより牧野…元気か?」

やっぱり、つくしなんだよね…解ってはいるけどさ

「知りたい?じゃ~明日、邸に行くから、その時に教えてあげるね!それじゃ~司、忙しいそうだから帰るね!」

はぁ~?
あいつ何しに来たんだ…
まったくワケ解んねぇ~
でも…

「おい、明日早く帰るからスケジュール調整しろ」

早く日本に行きてぇ~けど
今は動けない

牧野の事は逐一報告が来てるが、類の邸の中までは解らねぇからな
滋に聞くしかねぇ~しな


「西田、大河原滋さんが司の所に来たそうね」
「はい、5分程でお帰りになられましたが、明日、邸の方へいらっしゃるそうです」
「そう。まだ司を諦めてないって事かしらね」
「おそらくそうだと…」

大河原滋と牧野つくし

司さんの能力を最大限引き出す事が出来る
そして右腕となって支える事の出来る、牧野つくし

石油部門をもつ大河原財閥の令嬢、大河原滋

まるっきり正反対な境遇だけれども、どちらに転んでも道明寺にとっては…

「西田、あなたならどちらがいいかしら」
「私にはお答えしかねます」
「フフフッ、西田、今までのようにどちらも目を離さないようにしなさい」
「はい、畏まりました」