双子の考える事①


「陸君!帰ろ」
「ごめん、月。先に帰っていいよ。調べたい事があるから図書館に行く」
「うん、解った。じゃ~ね」

最近の陸君、いつもそう
図書館に行ってばかりで
そんなに勉強しなくたって、陸君、十分に頭がいいのにっていうより、学校で一番なんだけど
それに家に帰って来ても、ずっと部屋に籠もってばかりだし

何か変…
よく電話もメールも来るようになったし…
図書館に行くなんて言って、実はデートしてたりって事は…ないか、あの陸君だもんね、フフッ

ん~
でもなぁ~
電話が掛かって来ると聞かれたくないみたいでいつも部屋に逃げちゃうし、この間メールが来た時に覗こうとしたら、あの陸君が慌ててたんだよね
陸君のパソコンだって、ちょっと借りようとしたらパスワードがかかってて使えなくて…
フランスにいる時はパスワードなんかしてなかったのに

そんなコソコソと秘密にするなんて絶対に何かある!

あるとすれば…
ん~陸君、もの凄くモテモテだし、どう考えても…フフッ

電話にメールにパソコン
随分とラブラブだよねぇ~
そんなに頻繁に連絡しあってるなんてさ

一体どんなコなんだろう
陸君のクラスのコかなぁ~
ん~玲奈ちゃんかな?
すっごくキレイだし、性格いいし、頭もいいし

あっ、でも陸君ってママみたいな感じの人がタイプなんじゃないかな
パパと似てるからね
そうなると…い、いない
ママみたいな人なんて、そうそういないでしょ、クスッ

そういえば、ママは気づいてるのかな
フフッ、そんなわけないか、ママは鈍感だもんね
やっぱりこういう時はパパだよね
帰ったら聞いてみよっと!


プルルル…
プルルル…

ダダダダッ

ホラホラやっぱり、慌てて部屋に行っちゃった
今日は陸君、何故かパパと一緒に帰って来たんだけど…
でも丁度良かったかも
パパの事だから何か上手く聞き出してるかもしれないからね

「ねぇ~パパ、最近の陸君なんか変じゃない?」
「変って?」
「いつもコソコソしてるっていうか…何か隠し事してるみたい」
「電話が終わったら陸、みんなに話すと思うから。でも月は気がついたんだ。ママは全然なのにね、クククッ」

やっぱり!

でもみんなに話すって…
彼女が出来たくらいで、そんな大袈裟にしなくっちゃいけないの!?
花沢物産の息子となるとそういうものなのかな
ヤダ…もしかして私もって事?

「ちょっと類、一体なんの話?陸がどうかしたの?」

フフッ、ママ
ホントにまったく気づかなかったんだ
でもママにとっては陸君に彼女が出来たって、ショックなのかな、それとも嬉しい事なのかな
私はすっごく楽しみなんだけどね

「つくし、別に悪い事してるわけじゃないから、そんな顔しなくてもいいよ、クスッ」

こ、子供が目の前にいるのにキ、キスなんて///
ホントいつまでたってもパパとママ、ラブラブなんだから///
朝とか見慣れてはいるけど、一応、思春期なんだから、私

「もう陸、降りて来るわよね。今日はね、類、道明寺財閥に行って、滋さんからお土産にケーキを頂いてきたの。フフッ、月、例の美味しいお店のケーキよ、食べない?」
「うん、食べる!さすがは滋おば様だよねぇ~フフッ!パパと陸君は紅茶でいいよね」
「あい」

甘いケーキを食べながら、甘い話を聞くのも結構いいかも