「類お兄様、飲み物はコーヒーがいい?それとも紅茶にする?」
「いらない、牧野、紅茶入れて」
はい?
今、いらないって言わなかったっけ!?
「あ、あのさ、花沢類。そちらの玲奈さんって…」
「いとこ」
やっぱりそうなんだ
さすが花沢類の親戚だよね
玲奈さん、すっごく可愛いもん
「玲奈、鍵返して。また勝手に使用人から借りたでしょ、ここには来るなって言わなかった?」
あの…
話が見えませんが…
だって朝食はいつも玲奈さんが作ってるんじゃないの?
「玲奈だって類お兄様のお手伝いがしたいんだもん!いいでしょ、朝食くらいたまに作ったって」
ピッ、ピッ!
トュルルルル
『朝早くからすみません、類です』
『あら、類君、おはようございます。もしかしてまた玲奈が…』
『えぇ、悪いんですが、迎えの車お願い出来ますか』
『いつもごめんなさいね、すぐに手配するわ』
「玲奈、車呼んだから」
は、花沢類、せっかく朝食作ってくれたのに可哀想なんじゃ…
「解った…じゃ~類お兄様、下まで送って下さる?そうしたらちゃんと帰るから」
エッ!?
なんか冷たい目で睨まれた…よね!?
気のせいかな…
ん~まぁ~
とりあえず紅茶入れてこよう
「は、花沢類、飲み物入れてくるね。玲奈さんも紅茶でいいかな?」
「はい!お願いします」
うわぁ!
また可愛い笑顔
やっぱりさっきは見間違えだったのかな
紅茶を入れてリビングに戻ると花沢類の隣に玲奈さんが座って、すっごく嬉しそうに微笑んでる…
もしかして…
「紅茶入れてきたよ」
玲奈さんの顔から一瞬笑顔が消えて、またクラッとくるような笑顔に戻った
「あっ、ありがとうございます!」
玲奈さん…
花沢類の事…
「牧野、なにボーッとしてるの?」
「ハハハッ、何でもないよ。はい、これ花沢類の紅茶」
「ありがと。牧野、そういえばさ、何日くらいいられるの?」
あれ、言ってなかったっけ?
「あの…今日帰る…夜の便で」
ゲッ!
やっぱりムッとしてる…
「牧野、今日なんの日だか覚えてる?」
え~と…
3月30日だから…
ハッ!
「花沢類のお誕生日だ!やだ…ごめん。花沢類、お誕生日おめでとう!あっ、ちょっと待っててね」
バタバタバタ…
牧野、どこいくの?
ピンポン!
『玲奈お嬢様のお迎えに参りました』
「牧野、迎えが来たから下まで送ってくる」
「えっ!?ちょっと待って!」
バタバタバタ…
牧野
クククッ、朝から忙しいね
「玲奈さん、また今度来た時にはゆっくりお話しましょうね」
「えぇ、また…」
「ねぇ~類お兄様、つくしさんってキレイだから、すっごくモテるでしょ」
「玲奈には関係ない」
「類お兄様ったら、ホントいつも冷たいんだから…下まで送ってくれてありがとう!朝は来ないから、今度また遊びに来ていい?」
悪いけど、玲奈に構ってる暇はないから
「俺が玲奈の家に行くよ」
玲奈の頭をポンポンと叩いて、また何か言い出しそうな玲奈を車に乗せた