Uneasiness⑧-5


「類お兄様、飲み物はコーヒーがいい?それとも紅茶にする?」
「いらない、牧野、紅茶入れて」

はい?
今、いらないって言わなかったっけ!?

「あ、あのさ、花沢類。そちらの玲奈さんって…」
「いとこ」

やっぱりそうなんだ
さすが花沢類の親戚だよね
玲奈さん、すっごく可愛いもん

「玲奈、鍵返して。また勝手に使用人から借りたでしょ、ここには来るなって言わなかった?」

あの…
話が見えませんが…
だって朝食はいつも玲奈さんが作ってるんじゃないの?

「玲奈だって類お兄様のお手伝いがしたいんだもん!いいでしょ、朝食くらいたまに作ったって」


ピッ、ピッ!
トュルルルル

『朝早くからすみません、類です』
『あら、類君、おはようございます。もしかしてまた玲奈が…』
『えぇ、悪いんですが、迎えの車お願い出来ますか』
『いつもごめんなさいね、すぐに手配するわ』

「玲奈、車呼んだから」

は、花沢類、せっかく朝食作ってくれたのに可哀想なんじゃ…

「解った…じゃ~類お兄様、下まで送って下さる?そうしたらちゃんと帰るから」

エッ!?
なんか冷たい目で睨まれた…よね!?
気のせいかな…

ん~まぁ~
とりあえず紅茶入れてこよう

「は、花沢類、飲み物入れてくるね。玲奈さんも紅茶でいいかな?」
「はい!お願いします」

うわぁ!
また可愛い笑顔
やっぱりさっきは見間違えだったのかな


紅茶を入れてリビングに戻ると花沢類の隣に玲奈さんが座って、すっごく嬉しそうに微笑んでる…

もしかして…

「紅茶入れてきたよ」

玲奈さんの顔から一瞬笑顔が消えて、またクラッとくるような笑顔に戻った

「あっ、ありがとうございます!」

玲奈さん…
花沢類の事…

「牧野、なにボーッとしてるの?」
「ハハハッ、何でもないよ。はい、これ花沢類の紅茶」
「ありがと。牧野、そういえばさ、何日くらいいられるの?」

あれ、言ってなかったっけ?

「あの…今日帰る…夜の便で」

ゲッ!
やっぱりムッとしてる…

「牧野、今日なんの日だか覚えてる?」

え~と…
3月30日だから…
ハッ!

「花沢類のお誕生日だ!やだ…ごめん。花沢類、お誕生日おめでとう!あっ、ちょっと待っててね」

バタバタバタ…

牧野、どこいくの?


ピンポン!

『玲奈お嬢様のお迎えに参りました』

「牧野、迎えが来たから下まで送ってくる」
「えっ!?ちょっと待って!」

バタバタバタ…

牧野
クククッ、朝から忙しいね

「玲奈さん、また今度来た時にはゆっくりお話しましょうね」
「えぇ、また…」


「ねぇ~類お兄様、つくしさんってキレイだから、すっごくモテるでしょ」
「玲奈には関係ない」
「類お兄様ったら、ホントいつも冷たいんだから…下まで送ってくれてありがとう!朝は来ないから、今度また遊びに来ていい?」

悪いけど、玲奈に構ってる暇はないから

「俺が玲奈の家に行くよ」

玲奈の頭をポンポンと叩いて、また何か言い出しそうな玲奈を車に乗せた