Uneasiness⑥-2


「誤解されたくないから最初に言っておくよ」
「あっ、はい…」
「つくしさんがあの大学に入ったから認めたのではなく、私は楓さんとは違うからね、あの人風に言うと、ククッ『庶民の小娘』でも、類が選んだ人なら最初から認めるつもりだったんだよ。でも相手がつくしさんで良かった」

花沢類のお父様の言葉で、なんか涙がポロポロ出ちゃって…

「父さん、牧野泣かせないでくれない?」

花沢類があたしの涙をそっと拭ってくれた

「す、すみません、なんだかホッとして…あ、ありがとうございます」

また涙が出る
優しい言葉をもらえるとは思ってなかったから…

「いやいや、すまんな。泣かせるつもりはなかったんだが…」
「旦那様、ソファーの方にお茶をご用意致しましたので、どうぞこちらへ」

加代さんがあたしの涙を止めようと、気を利かせてくれてくれた
あたしってこんなに弱かったっけ?
ダメダメ、しっかりしなきゃ!

なんとか涙を止め、ソファーに移動した
お茶を一口飲み、少しホッとすると

「つくしさんは今、一人暮らししているそうだね」
「あっ、はい」
「どうだろう、ここに住むのは」
「はい?」
「類も心配だろうし、フランスでつくしさんの事が気になって仕事に支障が出ても困るからな」
「心配で仕事どころじゃないかも」

ボッ///
な、なにを言う…花沢類

「で、でも…」
「家賃はタダだし、美味しい食事は出来るしいいんじゃない?」

ウッ…
タダって言葉に揺らぐけど…

「その代りと言ってなんだが、つくしさんに手伝って貰いたい事があってな」

エッ!?
あたしに???

「あ、あの…なんでしょう?」
「会社の会議の翻訳をお願いしたいんだ。だからここにいてくれた方が都合がいいんだか・・・もちろんバイト代はきちんと出すよ」

翻訳って…
あたしに出来るのか!?

「牧野、勉強にもなるしやってみれば」
「えっ…あ~…う、うん…」
「よし!じゃ~決まりだ。今日は泊って、明日にでもここに来なさい。部屋はあの勉強部屋でいいかな?」

ヘッ?
ちょ、ちょっと
話が急なんだけど…

「クククッ、牧野いいよね?」
「あっ…エッ…」
「早くしないと家賃とか光熱費とか勿体無いよ」

ウッ…
それを言われると…

「お言葉に甘えて…精一杯頑張りますので、宜しくお願いします」
「ん、加代さんこれから宜しく頼むよ」
「はい、畏まりました」


あれよ、あれよという間に花沢邸に住む事になった
なんか最近、色んな事がありすぎで、頭の中がグチャグチャなんだけど…

昨日はママから電話があって、花沢類のお父様が

『お嬢様をうちで預からせて下さい』

とわざわざ挨拶に見えたって小躍りしてるし…

さっきは桜子から電話が来て、ここに住んでいる事を話したらみんな引連れて
今、目の前にいるし…
明日は花沢類がフランスに行く日なんですけど…
ほら、花沢類、超不機嫌…

「いや~類の親父もやるな~」
「これで少しは安心ですよね、花沢さん」
「…」

って花沢類…返事くらいちゃんとしなきゃ…

「類、ちゃんと帰るからそんなムッとしてんなよ」

そうそう、美作さんの言うとおり
機嫌を直してね…

「なんか甘いものが食べたくなっちゃった!先輩、一緒に取りにいきません?」

「う、うん・・・」

大丈夫かな、花沢類…

「先輩、温泉で練習したあれ、覚えてます?」

あれ???
なに言ってるの、桜子…

「イスに座って見上げる練習しましたよね」
「あ~あれ!」
「部屋に戻ったら花沢さんに速攻やって下さい」

別にやってもいいけど…

「あ…うん」
「絶対ですからね」

部屋に戻って、ちょっと怖いけど、超不機嫌モードの花沢類の隣に座って花沢類を見上げた



キ、キスされて///
だ、抱き締められた///

さ、桜子~!!!

「さすが牧野だな、類イチコロじゃん」

い、言われた通りやっただけじゃない…美作さん

「見せつけんなよな、牧野」

ちょ、ちょっと
あたしからしてないから…西門さん

「つくしラブラブ~♪」

待って
したくて今ラブラブしてるワケじゃないからね///

はぁ~
もうみんなして…



~NY道明寺オフィス~

「西田」
「はい」
「来月、私のスケジュールに日本行きがあったわね」
「はい、1週間ほど」
「司が行くように変更して、スケージュールも余裕が出来るように手配しなさい」
「はい、畏まりました」
「それから西田はNYに残って、他の秘書を司に」
「それは…」
「フフッ、花沢のご子息がフランスへ行くそうよ。司の記憶は戻ってないけど、いい機会だわ。手配をお願いするわね、西田」
「はい、畏まりました」