3つのお願い


「牧野さん、専務が飲み物だって、忙しそうだけどお願い出来る?」
「あっ、はい」
「牧野さん大変だよね、専務は牧野さんの入れたものしか飲まないからさ」
「ハハハッ…誰が入れたって同じだと思うんですけどね」

あたしがこの会社に入ったのは1ヶ月前…
そして専務の秘書になったのも1ヶ月前…

はぁ~
3つのお願いをきいたせいで・・・
っていうか、嵌められたって感じかな

大学を卒業して、普通の会社で普通のOL2年目だったあたし…

「牧野君、社長がお呼びだけど…君、何かやったのかい?」

エッ!?
め、滅相もない…

「課長、何かの間違えでは…」

普通の会社だからっていっても、あたしみたいな一般社員と社長が会うなんて事は何かやらかさなきゃあり得ない

「いやいや、とにかく早く行って来た方がいいんじゃないか」
「は、はい…」

急いでエレベーターで最上階に向かい、社長秘書の方に名前を告げる

コンコン

「社長、牧野つくしさんがお見えですが」
「どうぞ」

はぁ~緊張する…
だっていくら考えても社長に呼び出される理由が解らないんだもん

「し、失礼致します」

ここはとりあえず、深々とお辞儀をして…

ヘッ!?

どどどどうして?
な、何でここにいるの?

「は、花沢類!いつフランスから?何でここにいるのよ」
「こ、これ、牧野君!その言葉遣い花沢専務に失礼じゃないか」

あっ、しまった!
ここ社長室だったっけ…

「す、すみません…」

エッ!?
あっ…うげぇ~!!!

「牧野久しぶり、会いたかったよ」

ななな///
い、いきなり抱擁って…
それも
しゃ、社長の前で///

「は、花沢類、ひひひ久しぶりだね///あ、あのさ…もうそろそろ離してくれないかな…」
「やっと会えたのに?牧野が3つお願いを叶えてくれたら離してあげる」

あの~花沢類、ここって会社なんだけど…

「あれ、このままでいいの牧野?俺は別にいいけど」
「まったく…3つお願いを叶えればいいのね。解ったから、とにかく座って」

ようやく離してくれて、ソファーに腰をかけた
目の前に社長…

ハッ!
ヤ、ヤダ…
ここ社長室だった
社長…目が点になってる
ど、どうしよう、何て説明したら…

「し、失礼ですが、花沢専務。うちの牧野とは…」
「ククッ、高校の後輩で友人ですよ」
「あ~そうでしたか、どうりであの抱擁…あっいや、ハハハッ」

ホント花沢類ったら///

「社長、協力して頂きたい事があるんですが」
「もちろん花沢専務のおっしゃる事でしたら協力は惜しみませんよ」
「ではお言葉に甘えて、ここにいる牧野つくしさんを花沢物産に欲しいのですが、宜しいでしょうか?」

はい?
何言ってるの、花沢類…

「エッ!?牧野をですか?」
「はい」
「いや~私としては構いませんが、本人次第だと」
「牧野いいよね?」

ちょ、ちょっと
何でいきなりあたしが花沢物産に行かなきゃいけないワケ?

「は、花沢類、急にそんな事言われたって…」
「だってお願い叶えてくれるって言ったでしょ」

ヘッ!?
お願いって、これが1つ目っていう事?

「ククッ、決まりね!社長、明日からで宜しいですか?」
「え…えぇ、それはもう」

ちょっと待ったぁ~!
な、なに勝手に決めてんのよ

「は、花沢類、明日からなんて急すぎだよ。引き継ぎとかもあるしさ」
「牧野君、その件なら何とかなるから花沢専務の指示に従いなさい」
「だってさ、牧野早く着替えておいで。時間すぎたから帰ろ」