代償の果てに⑨-5


「牧野、大丈夫?」
「花沢類…これって本当の結婚式なの?みんなであたしを騙しているんじゃ…」

クスッ、式の前までは騙してたんだけどね

「俺と牧野の本物の結婚式だから安心して。式が終わったらすべて話すから」
「う、うん」

それにしても今までまったく気がつかなかったなんて、さすがは牧野
まぁ~
俺も一時、司には騙されたけどね

「あ、あのね、花沢類。あ、あたしも式が終わったら話があるんだけど…」
「話?」

おそらく…

「お、落ち着いてからちゃんと話すから///」
「あい」

クククッ、やっぱりやられたらやり返さないとね、牧野

「おい、類!いつまでイチャイチャ話してんだ!さっさと始めろ」
「ちょっと司、ここは教会なんだから大声出さないでよ」
「チッ、解ったよ」
「類君、つくし、ごめんね」
「謝る事ねぇ~だろ」
「いいから、司は黙ってて」
「フン」

あの俺様の司がいう事聞くなんて、大河原も結構やるじゃん

「フフフッ、あの道明寺が黙っちゃうなんて激レア」
「司、大河原に本気で惚れてるのかも」
「そんなの当たり前じゃない!結婚したんだから」

それじゃ~やっと安心出来るのかな、クスッ
最強の女だからね、牧野は
司、なかなか忘れられられないんじゃないかって思ってたけど

「コ、コホン、ではこれより新郎、花沢類、新婦、牧野つくしの結婚式を執り行います」


NYに、道明寺の元へ行くって決めてから、まさか花沢類と結婚出来るなんて夢にも思わなかった
こんな、こんな幸せな事って…

「牧野?」

ずっと花沢類と一緒にいられるなんて…

「クスッ、牧野に見つめられてすごく嬉しいんだけど、愛は誓ってくれないの?」
「あっ、ごめんなさい///」
「ごめんってやっぱりイヤ?俺と結婚するの」

わわわ、ち、違う!

「そうじゃなくて…は、はい、誓います///」

花沢類の傍にいられて、嬉しくて、信じられなくて、思わず見入っちゃった
今は結婚式に集中しなきゃ

「では、指輪の交換を」

指輪?
ど、どうしよう
そんな用意して…ある

「ホントは牧野と選びたかったんだけど秘密だったからね。父さんと母さんがどうしてもって言うから二人に選んでもらった」

花沢社長とお母様が?
あっ、そういえば…
このウェディングドレスをデザインしてくれた人って、どこかで見た事と思ったら花沢類に似てるんだ
それじゃ…あの人が花沢類のお母様?

「このウェディングドレスも…だよね?」
「気に入ってくれた?」
「もちろん!すっごく嬉しい!」

一般庶民のあたしなのに、ここまで良くしてくれるなんて…

「誓いのキスを」

みんなの前で…何だか恥ずかしいというか、緊張しちゃう

「もう絶対に離さないから覚悟してね、牧野」
「フフフッ、花沢類も覚悟して、少しでも離れたら秘書バージョンで対応するからね」
「クスッ、愛してるよ、牧野」
「あたしも花沢類を愛してます」