あきらの悲劇 Part1①


『きゃ~!F4の美作様よぉ~』
『いや~ん、すっごくカッコいい!』

超優秀なT大でも女の子の反応は、変わらないんだな

一応、微笑んでおくか
俺って優しいからね、女性には

『きゃ~!!』

はぁ~参ったね
ホント煩い…

「あれ、美作さん、こんなトコで何やってるの?まさか女あさりに来たとか?フフフッ、ここには人妻あまりいないと思うけど」

チッ!
まったく誰のせいで来たと思ってんだよ

「牧野、ちょっと来い!話があるから」
「は、話って、なななに?」

その反応は何で俺が来たか、ちゃんと解ってるみたいだな

「エッ!?あっ…ちょっ…」

『イヤ~!なんでぇ~牧野さんだけぇ~ずる~い!』

「いいから牧野、早く乗れ!自宅に行って」
「はい、畏まりました」

あれ?
何であきらが牧野と一緒にいるの
腕なんか掴んじゃって、どこ連れていくつもり?

「あのさ、み、美作さん、は、話ってなにかなぁ~」

はぁ~白々しすぎるぜ、牧野

「ゆっくり聞かせてもらうから家についてからな」

まったく、何でいつもいつも…
俺が巻き込まれなきゃいけないんだ!!

~数時間前~

「美作専務、来年度の新入社員リストが出来上がりました」
「うん、そこに置いておいて」

どうせ見たって、頭でっかちの男か、女ギツネしかいないんだから

「はい、畏まりました。美作専務、今回は優秀な女性が一人入社しますよ」

へぇ~
顔が伴わない優秀な女ギツネだろ
興味ないね

「英徳高校を卒業してT大学、それも経済学部卒業予定で学部内でトップクラス」

英徳高校卒業…ふ~ん、俺と一緒じゃん
T大学…経済学部
…って

「ん~写真を見る限り、とても可愛らしい女性ですね!でも不思議なんですよね、こんな優秀な人が美作商事しか受けてないなんて」

ちょっと待ったぁ~!

「それ貸して!」

ゲゲッ!
おいおい、どういうつもりなんだよ

「うちしか受けてないって本当か?」
「あっ、はい」

ケンカでもしたのか?
頼むから俺を巻き込まないでくれよ

「もしかして美作専務のお知り合いの方ですか?」

知り合いもなにも…
まったくなに考えてんだ

「あぁ、悪い、ちょっと出掛けてくる」

これが数時間前の出来事
そして
俺がT大学に行った理由