心の扉⑥-3


あたしって結構優秀かも
時間ピッタリに終わらせるなんて
しかも7時の待ち合わせも5分前に到着…って
ヤダ、もう川島部長来てる

「すみません。お待たせしてしまいまして」
「いや、まだ時間前だよ。でもさすがは僕の秘書だ。今日は余計な事で時間を取られたのに遅れずにきっちり待ち合わせに来れるなんてさ」

まぁ~あたしも本気をみせればこんなもんよ
な~んてね

「正直言うとちょっと大変でした」
「それじゃ、お詫びも兼ねて今日はたくさん食べて。さぁ~入ろう」
「はい」

うわぁ~
すっごくオシャレなレストラン
随分と高そうななんだけど…

「この店、人気があってなかなか予約が取れないんだよ」

うん、そんな感じ
満席だし、女性が好きそうな雰囲気

「よく予約が取れましたね」
「もちろん、花沢物産の名前を使ってね!よく接待で使ってるから。予約した花沢物産の川島ですが」

フフッ、川島部長ったら

「はい、お待ちしておりました。こちらの奥のお部屋になります。お連れ様が先にお待ちになられおります」

お連れ様って他にも誰かいるの?
人がいるのにパーティーの話なんか出来るのかな
もう日にちがないから今日くらいしか打ち合わせ出来ないんだけど

「どなたかご一緒なんですか?」
「いや、2人のはずだけど。きっと他の部屋と間違えてるんじゃないかな」

そうだよね
一応、極秘事項だから人に聞かれちゃ不味いもんね

「どうぞ。牧野さん、入って」
「はい」

エッ?
な、なんでいるの?

「みすぎ、何でここにいるんだ?」
「フフフッ、驚いた?」

あ、当たり前でしょうが
滋さんもだったけど、お嬢様って予想がつかない事ばかりするみたい

「まったく、よくこの店だって解ったな」
「予約の電話を入れてるのを盗み聞きしちゃった。だって2人だけで食事なんてずるいわ」

2人だけって…
打ち合わせなんだけど

「入るなら早く入ってくれない?」

エッ?!
今の声…まさか

「支社長もご一緒でしたか。失礼致しました。牧野さん、入って」

やっぱり…花沢類