Uneasiness⑥-5


花沢類がフランスに行ってまだ1ヶ月…
こんなに時間がたつのが遅いなんて…

時差があるし、忙しいのに
花沢類は殆ど毎日電話をくれる

花沢類の声を聞くと、その時はすっごく元気が出るんだけど
やっぱり寂しい…
花沢類に会いたい…

「つくし~♪」

あっ、滋さん
桜子も…

「先輩、なに暗い顔してるんですか、そんなだと老けますよ」
「なっ、桜子~!」
「つくし、授業終わったでしょ、カフェ行こうよ♪」
「うん」

みんな
あたしを気づかって、こうして大学や花沢邸に来てくれる
あたしってホントみんなに支えてもらってばっかりで…

「そういえば先輩、翻訳の仕事はどうですか?」
「うん、大分慣れてきたかなって言っても、まだまだなんだよね」
「つくし、そんなに大変なの?」
「う~ん、今はフランス語と英語を日本語になおすだけしかしてないから大丈夫なんだけど、そのうち、全部訳せるようにならないといけないんだ」

多分なんだけど…
花沢類のお父様は語学に慣れるっていうのもあるけど、会議の内容をあたしに見せて
花沢物産がこれから何をするのか、花沢物産の問題点は何かとか色々、会社について学ばせてくれてるんじゃないのかなって思う

「先輩、大学と翻訳とで両立するの大変なんじゃないてすか」
「そうなんだよね、大学は成績落とすワケいかないし…でもね、すっごく楽しいんだ!それだし花沢類もフランスで頑張ってるから、あたしも負けないでやらないとね」
「愛の力ってすごいね~♪」

あああ愛って…
滋さん///

「先輩、愛って言葉だけですぐ反応しないで下さい。先輩と花沢さんはもっと深い仲なんですから」

ななな///
さ、桜子~!

「ねぇ~つくし、もうそろそろ花沢家のお迎えが来るんじゃない?」

ヒャ~
忘れてた・・・

「い、行かなきゃ!滋さんと桜子はどうするの?」
「決まってるじゃないですか、イイ男チェックですよ、先輩」

はいはい…

ホント2人とも容姿バッチリで、男の人が言い寄って来るのに、F4を見てるからかな?
F4以上の人ってなかなかいないと思うけど…



花沢物産がマスコミを抑えてくれているお陰で、日常生活にはまったく影響がないんだけど…

「牧野つくし、どうやら花沢の御曹司と別れたらしいぜ」
「類様、牧野つくしを捨ててフランスに行ったんですって」
「お嬢様とか他の御曹司が牧野つくしに会いに来るけど、花沢さんと本当に別れたのか?」

まぁ~
英徳で慣れてるから構わないけど、みんな言いたい放題だよね…

あっと、いけない!
早く行かないと…

「すみません、お待たせしてしまって…ハァハァ」
「クスクス、そんなお急ぎにならなくても大丈夫ですよ、それに私に気遣いは無用ですからね、つくしさん」
「ハハハ・・・高橋さん、ありがとうございます」

花沢類がフランスに行ってから心配だからと、あたし専属の送迎車をつけてくれた

あたしは普通に生活したいって何度も花沢類に頼んだけど、絶対にダメだって…

花沢類のお父様にも

『お預りしているお嬢さんに何かあったらご両親に申し訳がたたない』

と言われ渋々了承した

初めてこの車に乗った時、運転手の高橋さんに『牧野様』って言われて、どうしても堪えられなくって

「高橋さんにお願いがあるんですが…」
「はい、なんでしょう?牧野様」
「あの…その『様』はやめて頂きたいんですが…どうしても聞きなれないって言うか・・・出来れば名前でお願いします」
「クスクス、はい、承知しました。これからはつくしさんと呼ばせて頂きます。では交換条件で、私からもお願いが…」
「はい、なんでしょうか?」
「私に気遣いは無用ですので、どこに行くにも必ずお呼び下さい」
「フフッ、解りました。これから宜しくお願いします!」
「こちらこそお願い致します」

高橋さんはすっごく気さくな方で、色々な話をしてくれる
あたしが悩んでいると相談にのってくれたりして、まるでお父さんみたいな感じ

うちのパパとは全然違うんだけどね…