~Riku~
ママの策略で、洋服のカタログのモデルをやったせいで、僕たちF4ジュニアと月の回りの騒ぎがず~と続いてる…
特に月は半端じゃない
今やアイドル以上の扱いで、毎回ワイドショーのネタに使われてる
サラサラの黒髪に、黒い瞳の大きな目
モデルの時はその髪をなびかせ、屈託のない笑顔を見せていた月が、大きな目からポロポロ涙を流す、ワイドショーが勝手に取った映像のせいで、朝早くからマスコミが邸の周りをうろついているそんな状態になった
ただ単に、フランスに戻るお祖父様達を見送りに行った時に見せた月の涙で、こんな事になるなんて…
だってドラマとか、悲しいアニメとか見ても直ぐに泣く月なのに…
終いには
その時見せた涙を拭い、ウルウルの目でお祖父様を見上げ、笑顔を見せた月の写真が、ベストショット何とか賞になってしまった
そんな騒ぎの中、本人はいたってマイペースで、ママも全然気にしてなくて
ただパパだけは
「パパに見せる月の表情の方がずっと可愛い」
なんて、よく解らないヤキモチを妬きながらも、自分のオフィスにその写真を飾ってる
でもあまりにも過熱するマスコミに、とうとうパパが動き出した
何でかって言うと、マスコミがママを追いかけ始めたから
もちろん
月と同じ容姿を持つママは、僕から見ても可愛いし、才能もあって頭もいい
ママ曰く、庶民の出だから料理とか家事全般すべてパーフェクト
やっぱりそんなママをワイドショーが放っておく訳がない
今日のママの服装チェックとか、特番が流れるようになって…
でもその特番で、パパとママの結婚式の映像を初めて見たけど
パパは変わらずカッコよすぎだし、ママはすっごくキレイだった
月も
「月が結婚する時はママと同じウェディングドレスを着て、やっぱりパパみたいな人と結婚する」
ってキラキラした目で、改めて誓ってたっけ
パパは月に対してすごく過敏になるけど、ママに対してはそれ以上
「俺のつくしを勝手に撮るなんて絶対にダメ、しかも俺が会社に行ってて、普段俺が見れないつくしを何でマスコミが見てる訳?」
またしても、よく解らない理由でパパは、お祖父様と入れ替わりでフランスへ移住する事を決めてしまった…
小学校入学に合わせ、家族でフランスへ
滋おばさんも
「つくしがいなくなるなら日本にいてもつまんないし、司もNYにいた方が都合いいみたいだから」
そう言って、翔を連れてNYに
桜子おばさんも
「早くから海外に慣れた方がいいですよね」
とつばさを連れ、家族で香港へ
日本には総太だけ残る事になってしまった…
僕達がフランスに来て生活が慣れ始めた頃、ママは本格的に仕事を始めた
パパの秘書として
ママ曰く
「せっかくお父様のお陰で覚えた仕事を放っておくのは勿体ないじゃない」
って、ただ単にパパの傍にいたいだけなんじゃないの、ママ
でもこれで完全に、洋服のモデルをやらなくてすむ
だって秘書の仕事をしながら、洋服のデザインなんか忙しくて出来ないし、総太以外はみんな海外にいるし…
って、どうして?
何で僕達、日本にいる訳!?
んで、何で空港に勢揃いしてるの?
みんな忙しいはずの元祖F4が先頭に歩き、その後にT4
またその後に僕達F4ジュニア&月…
もちろんマスコミの餌食
でも一番マスコミが狙っているのが月
パパ達には声をかけづらいせいか、子供だったら大丈夫だろうと、SPがいるのにもかかわらず、月に質問が集中していた
それに気が付いた司おじさんが、マスコミを一瞥すると、月をパパの方へ連れて行く
さっきまでうるさかったマスコミが、一瞬にして静かになって
なんか司おじさん
すっごくカッコよかった
その後
ホテルへ移動してから、月が司おじさんに
「司おじ様、さっきはありがとうございました!司おじ様、すっごくカッコよかった♪」
と見上げながら…おそらく上目遣い状態だと思う
司おじさんの腕を引き、ほっぺにキスをした
ククッ
反応が翔と一緒
真っ赤になって固まってる
さっきまでは、すっごくカッコよかったのに…
ククッ
「なに固まってるんのよ、司!ホント司はつくしと月ちゃんに弱いんだから」
「なななに言ってるの、滋さん!」
あ~ぁ…
ママ、気がついてる?
パパ大変だよ…
ホント世話がやけるんだから
「月!」
「なぁに、陸君」
「パパの機嫌なんとかしてくれない?」
「フフッ、解った!任せておいて」
頼むよ、月
この後はお祖父様達に会うんだから
「お祖父様!月、すっごく会いたかった♪」
お祖父様に抱きつく月…
ホント月はママと一緒
鈍感すぎ…
さっきやっと機嫌が直ったのに…
はぁ~今度はママを使うか…
「ママ、パパ大変だよ」
「エッ!?」
やっぱり…気がついてなかったね、ママ
「僕はお祖母様に挨拶するから、ママはパパの腕でも組んで上目遣い攻撃ね」
「あっ、陸…ありがと」
ククッ
じゃ~ママ、パパをヨロシク
僕はお祖母様に駆けよった
お祖母様は僕を優しく抱き締めてくれて
「フフッ、陸はいつも大変ね!陸が一番しっかりしてるみたい」
この家の中で、冷静に見ているのがお祖母様だと思う
「月、こっちに来てケーキでも食べましょう」
「は~い、お祖母様♪」
そう今もお祖父様とパパのにらみ合いを止めさせる為に、月をこっちに呼んで…
ククッ
ママ、いつまでアタフタしてるの
「ママ!ママの好きそうなケーキがあるよ、食べようよ」
「あっ、うん」
お祖母様と僕は目を合わせると、お互いにクスっと笑う
「ママのケーキ美味しそう~月にちょっと頂戴、ママ」
「うん、いいわよ!月のもちょっとママに…」
「「美味しい~♪」」
そんな2人をお祖父様とパパが、優しい目で見つめている
さっきまでとまるで違う、和やかな雰囲気になった
「そう言えば、類」
「なに、父さん」
「今度の取締役会で正式に決まると思うが、おそらく来月には副社長に就任になるからな」
「ふ~ん」
ふ~んって
パパ、嬉しくないの?
普通、ママと月のように喜ぶんじゃ…
「ハハハッ、相変わらず無関心だな、仕事の事になると」
「だって今より忙しくなるだけでしょ、家族との時間が少なくなっちゃうじゃん」
ってパパ…
喜ばない理由はそれなの!?
「まぁ~そう言うな、つくしさんとは会社でも一緒にいられるんだから」
「つくしがいるから我慢してるんじゃん」
はぁ~この会社、大丈夫なのかな、こんなんで…