代償の果てに①-2


「おっ、桜子、それってどう言う意味だよ」
「…いえ、ただ何となくそう思っただけです」

もしかして三条、あんた
何か知ってるの?

「おいおい、勘かよ」
「でも確めてみるのも面白いんじゃね?あきら、今後牧野に会ったら司の事、聞いてみっか」

総二郎、牧野で遊ばないでくれない

「類、なにムッとしてんだよ」
「眠い…帰る」
「おい、類!まったく…」

ホント類のヤツ
牧野に会うためだけに、来てるみてぇ~だな

「でもよ、類も複雑なんじゃね。まぁ~俺だったら速攻奪っちまうけどな」

総二郎ならやりかねねぇ~けど、相手が司じゃな

司のヤツ
類と牧野の事になると、猛獣になるから

「あの、さっきは花沢さんがいたから言わなかったんですけど…」
「おい、桜子、何か知ってんのか?」
「桜子、何かおまえらしくねぇ~な。そんな言いづらい事なのか」
「えぇ…あの…道明寺さんがNYに行くって決まった後、先輩、頑なに一緒に行く事拒みましたよね。何か変じゃありませんでした?」

たしかに一緒に行くとばかり思ってたけど
牧野、頑として行かないの一点張りだったよな…

「まぁ~仕方がなかったんじゃねぇ~の。牧野、一家の大黒柱だから、はい行きますって訳にはいかなかいだろ。司に頼るタイプじゃねぇ~しな」
「西門さんにはそう見えました?」
「つ~か、桜子、何が言いたいんだ?」

西門さんも美作さんも解らなかったなら、きっと大丈夫ですね

「道明寺さんに気がつかれる前に、お二人には知っていてもらった方が…先輩、道明寺さんではなく、花沢さんが好きなんだと思います」

「「はぁ~?」」

「NY行きの時、何故だか違和感があって、先輩をずっと見てきたんですけど、道明寺さんから連絡が来なくなっても落ち込む事もなかったですし、それより花沢さんといる時の先輩、すごく幸せな顔してるんですよね」

おいおい
すでにNY行きの時から類がって事か?

「ホント、マジかよ…桜子がそう思うんだから、間違えねぇ~よな」
「つ~かよ、牧野もそうなら、あん時司と別れてりゃ~いいのによ」
「先輩、鈍感ですから自分の気持ちが解らなかったんじゃないですか。最近気がついたみたいですけど」
「まさか、司は気づいてねぇ~よな?」

連絡がなくなった時心配だったけど、道明寺さん、何もして来ないからおそらくまだ…

「知れたらきっと大変な事になりそうですよね」
「まったく世話がやけるよ。司に知られる前に俺らが何とかするしかねぇ~な」

花沢さんは…
先輩の気持ちを知ったら…多分、動き出すでしょうね
道明寺さんと付き合い始めても、ずっと先輩を見続けてきたんですから…

あっ…
そう言えば

「来て早々、道明寺さんと先輩の話だったんで忘れてたんですが、今日って…」


「ま~きの、お疲れ様」
「花沢類!いつもいつも送ってもらっちゃってごめんね」

ククッ、牧野
いつもいつも同じセリフだね

「散歩のついでだから気にしなくていいよ」
「あ、ありがと///今日は寒いね!花沢類、早く帰ろ」
「あっ、待って、牧野」

ホント、牧野は…
もう12月過ぎたんだし、寒いって解ってるんだったら

「なに?」
「見てるとこっちが寒くなりそうだから」
「エッ!?そ、そんないいよ、花沢類こそ寒くなっちゃうじゃない!」
「ほら、動かないで」
「あ、ありがと、花沢類。このマフラーすっごく暖か~い!やっぱりカシミヤとかそういう高級な物なんだよね…なんかごめんね」

ククッ
牧野はいつになったら言わなくなるんだろう

『ありがと』と『ごめん』

「行こ」
「うん!あっ、花沢類、そんな髪クシャクシャにしないでよ、もう!」
「クククッ、ほら、牧野早く行こ」


「つ~かよ、超二人の世界じゃね?」

類のヤツ
手なんかつないじまって

「どう見ても桜子の言う通りだな…牧野、類に完璧に惚れてんな」

司といる時より、ずっといい顔してるしな

「もう明日にしません?今邪魔したら花沢さんに睨まれそうですから」
「あぁ、そうだな」
「仕方ねぇ~な、じゃ~司対策でも練りに作戦会議でもしようぜ」