心の扉⑦-2


うわわわ、どうしよう
まだ心の準備が…
っていうか、マズいでしょ
手をつないだまま出ちゃったら

「し、支社長、あのこのまま出ては何かと誤解を招きますので…」

む、無視!?
はぁ~
ホント変わらないな、花沢類は

「とりあえず手だけは離して下さい…もう!ちょっと花沢類ってば」
「クスッ、やっと前の牧野に戻ったね」

まったく
ワザと無視しちゃってさ

「ねぇ~あんた、他に部屋空いてない?」
「申し訳ございません。あいにく本日は満席でして」

でもとりあえずは止まってくれて良かったよ
道明寺もそうだけど、花沢類も後先考えずに行動するからね

「じゃ~裏口に車まわして」

ん~でも道明寺は自分勝手で、花沢類の場合はマイペースって感じかな
いまだに手を離してくれないし
フフフッ、こんな状況だけど、ちょっと嬉しいかな

「…の、ま~きの」

へっ?
か、顔が近い///

「な、なにかな?」
「ホントに牧野だ。すぐ真っ赤になるとこ、変わらないね」

花沢類の方こそ全然変わって…
うわぁ!

「は、花沢類ったら、いくら海外生活が長かったからって、その抱擁はちょっと…」

花沢類…だ

ずっとずっと夢みてた
こうして花沢類に抱きしめられるのを

「ねぇ~牧野」

このまま離れたくないよ

「俺はずっとこのままでもいいんだけど、牧野が離してくれないんでしょ、クスッ」

ハッ!
やだ、あたしったら

「ご、ごめん…ほ、ほら久しぶりだったからつい、ハハハッ」
「お車をご用意致しました。マスコミには気づかれておりません」

車!?
ちょ、ちょっとどこに行くの?

「ありがと。牧野、行こ」
「は、花沢類?」
「牧野は今どこに住んでるの?司の邸、それも実家?」

あたしん家?
何でまたそんな事聞くかな
ど、どうしよう

「え~と…ひ、一人暮らししてるの」
「ふ~ん、それじゃ牧野ん家に行こ」

うわぁ~
ま、待って!
同じマンションに住んでるってバレちゃうよ

「あ、あのさ普通、女の一人暮らしの家に行かないでしょ」
「だってせっかくマスコミに気づかれないように出て来たのに、他の所に行ったらすぐ見つかっちゃうけど。クククッ、なんならホテルの部屋にする?」

ホ、ホテルって…
もし万が一見つかったら大変な事になっちゃうよ
仕方ない…

「あたしん家でいいよ」

どうせいつかはバレちゃうし、もしマスコミに見つかっても、みずきさんが住んでるマンションだから誤魔化しがきくからね
でもビックリしないでよ、花沢類