『牧野、今大丈夫?』
『うん、大丈夫だよ!花沢類、珍しいよね、こんな時間に掛けて来るなんて』
『ククッ、きっと牧野早く知りたいんじゃないかなって思ってさ』
『エッ、何の事?』
『牧野の誕生日を挟んで3日間、お休み貰えたから帰国するよ』
『…』
『牧野?もしも~し』
『…ヒック』
「ちょ、ちょっと先輩!電話の途中で泣き出さないで下さいよ」
『クククッ』
「つくし、せっかく類君の声聞ける機会逃したら勿体無いよ!」
あっ
ホント勿体無い
貴重な時間なのに
『は、ヒクッ…花沢類、ヒクッ…ごめんね…ヒクッ』
『ククッ、牧野、嬉し泣きしちゃった?』
あ、あったり前だよ
だってもう半年以上会ってないんだもん
『ヒクッ…早く会いたい…ズルズル』
『牧野、可愛い事言った後に、ズルズルはないんじゃない、ククッ』
だって鼻が…勝手に
『ご、ごめん///』
『牧野のごめんは聞き飽きたよ。あっ、ごめん…もう行かなきゃ』
『フフッ、花沢類だってごめんって…それじゃ~またメールするね!風邪引かないように、お仕事頑張ってね』
『ありがと、牧野、愛してるよ』
フフッ
花沢類が帰って来るんだ
あたしの誕生日まで後1週間しかなかったから、今年はもうムリかなって思ってたけど
フフッ、すっごく嬉しい!
「先輩、電話だと随分と素直で可愛い声出しちゃうんですね」
なっ///
「そ、そんな事ないわよ」
「つくし、類君帰って来るの?」
そうだ
みんなに言わないとね!
「うん!あたしの誕生日を挟んで3日間、帰って来るって」
花沢さんが
フランスにいる事を除けば
ここ何ヵ月間
先輩の周りが落ち着いてきている
あの週刊誌に載ってた女の子は
アメリカに留学に行って
あれ以来
騒がれる事もなくなった
道明寺さんも日本へ来ていないし、かといって道明寺財閥の誰かが先輩に近づく事もない
そして
たった数日だけど、花沢さんの帰国
なんかようやく幸せな2人が見れそうな気がする
「桜子、さっきから黙り込んでどうしたの?」
「先輩の幸せなオーラで圧倒されちゃっただけですよ」
「な、なに言ってるのよ、桜子///」
「ところで先輩、いつまでそのピアスしてるんですか?もう他のしても全然平気ですよ」
「ハハハッ…そうなんだけどね、なかなか花沢類と同じのが買えなくって」
花沢物産のお給料は想像以上に多いんだけど、パパがなかなか定職につけなくって殆ど渡してるから、買えないんだよね
それだし、あのピアス、結構高かったし…
「つくし、類君にねだっちゃえば?だってつくしの誕生日じゃん」
「いや///そんなの絶対ムリ!」
ねだるなんって///
ましてはあんな高いもの…
「先輩、大丈夫ですよ。花沢さんの事だから何も言わずに買ってくれますって」
桜子、何を根拠に…
そんな事絶対ありえないから
「べ、別に自分で買うって決めてるからいいの!」
まったく先輩は…
先輩を見た瞬間、すぐ買いに行きますよ
あの花沢さんが先輩を見て、気がつかないワケないじゃないですか
ピアスをしてるって
まぁ~これで
空港にお迎えに行った時の楽しみが増えていいですけどね!