Uneasiness⑨-3


『牧野、今大丈夫?』
『うん、大丈夫だよ!花沢類、珍しいよね、こんな時間に掛けて来るなんて』
『ククッ、きっと牧野早く知りたいんじゃないかなって思ってさ』
『エッ、何の事?』
『牧野の誕生日を挟んで3日間、お休み貰えたから帰国するよ』
『…』
『牧野?もしも~し』
『…ヒック』

「ちょ、ちょっと先輩!電話の途中で泣き出さないで下さいよ」

『クククッ』

「つくし、せっかく類君の声聞ける機会逃したら勿体無いよ!」

あっ
ホント勿体無い
貴重な時間なのに

『は、ヒクッ…花沢類、ヒクッ…ごめんね…ヒクッ』
『ククッ、牧野、嬉し泣きしちゃった?』

あ、あったり前だよ
だってもう半年以上会ってないんだもん

『ヒクッ…早く会いたい…ズルズル』
『牧野、可愛い事言った後に、ズルズルはないんじゃない、ククッ』

だって鼻が…勝手に

『ご、ごめん///』
『牧野のごめんは聞き飽きたよ。あっ、ごめん…もう行かなきゃ』
『フフッ、花沢類だってごめんって…それじゃ~またメールするね!風邪引かないように、お仕事頑張ってね』
『ありがと、牧野、愛してるよ』

フフッ
花沢類が帰って来るんだ
あたしの誕生日まで後1週間しかなかったから、今年はもうムリかなって思ってたけど
フフッ、すっごく嬉しい!

「先輩、電話だと随分と素直で可愛い声出しちゃうんですね」

なっ///

「そ、そんな事ないわよ」
「つくし、類君帰って来るの?」

そうだ
みんなに言わないとね!

「うん!あたしの誕生日を挟んで3日間、帰って来るって」



花沢さんが
フランスにいる事を除けば
ここ何ヵ月間
先輩の周りが落ち着いてきている

あの週刊誌に載ってた女の子は
アメリカに留学に行って
あれ以来
騒がれる事もなくなった

道明寺さんも日本へ来ていないし、かといって道明寺財閥の誰かが先輩に近づく事もない

そして
たった数日だけど、花沢さんの帰国
なんかようやく幸せな2人が見れそうな気がする

「桜子、さっきから黙り込んでどうしたの?」
「先輩の幸せなオーラで圧倒されちゃっただけですよ」
「な、なに言ってるのよ、桜子///」
「ところで先輩、いつまでそのピアスしてるんですか?もう他のしても全然平気ですよ」
「ハハハッ…そうなんだけどね、なかなか花沢類と同じのが買えなくって」

花沢物産のお給料は想像以上に多いんだけど、パパがなかなか定職につけなくって殆ど渡してるから、買えないんだよね
それだし、あのピアス、結構高かったし…

「つくし、類君にねだっちゃえば?だってつくしの誕生日じゃん」
「いや///そんなの絶対ムリ!」

ねだるなんって///
ましてはあんな高いもの…

「先輩、大丈夫ですよ。花沢さんの事だから何も言わずに買ってくれますって」

桜子、何を根拠に…
そんな事絶対ありえないから

「べ、別に自分で買うって決めてるからいいの!」

まったく先輩は…

先輩を見た瞬間、すぐ買いに行きますよ
あの花沢さんが先輩を見て、気がつかないワケないじゃないですか
ピアスをしてるって

まぁ~これで
空港にお迎えに行った時の楽しみが増えていいですけどね!