星に願いを(つくし視点)①


一年前にここで花沢類と一緒に願い事をした

一年後、花沢類に
飛び込む勇気を下さい

花沢類に抱きしめられながら、またこの場所で星空を見られるのは、道明寺、あんたのお陰だよ
本当にありがと、感謝してる

~一年前の秋~

はぁ~
あたしって何でこんなに鈍感なんだろ
やっぱり花沢類が好きだって道明寺がNYに行ってから気づくなんて
道明寺から電話が来る度に言おうとしたけど、いつも言い出せなくて…
昨日電話してみたけど、やっぱり出ないし

ピピピツ!ピピピツ!

道明寺…

でも今日こそはきちんと言わなくちゃいけない
いつまでも道明寺を騙し続けるなんて出来ないから

『久しぶりだな、牧野』
『うん…ホント久しぶりだね』
『昨日は悪かったな、電話に出られなくて』
『ううん、道明寺が忙しいのは解ってるから』
『でもよ、お前がかけてくるなんて、珍しい事もあるんだな。何かあったのか?』

そういえば初めてかもしれない、道明寺に電話したのって
だから心配してかけてくれたんだね

『…あのね、あたし…ヤダ、どうしよう…』
『…泣いてんのか、牧野』

道明寺の事を考えると涙が止まらないよ…

『ご…ごめんね…道明…寺…あたし…もう一緒には…いられない』
『やっと言い出したか…』
『エッ…』
『いや、何でもない。類か?』

気づいてたんだ…道明寺

『…うん…で、でもね…花沢…類は…悪くない…の…あたしが勝手に…』
『12月に英徳大学の特待生試験がある。それを受けろ。学長からは俺が話をしておく』

特待生試験?
ど、どうして急にそんな話…

『あ…あの…道明寺…』
『NYには来ないんだろうから、それが条件だ。受かるかどうかはお前次第だけどな』
『待って…道明寺…あたし…』
『別れたいなら俺様に直接会って言え。それまでは別れるつもりはねぇ~からな。悪い、仕事だからもう切るわ。じゃ~な』

あっ…

道明寺は最初から、別れ話をするって気づいてたんだね
だって英徳には特待生制度はないんだから
きっとあたしの為に…
あたしが花沢類の傍にいられるようにしてくれたの?
道明寺…

あの電話の後、学長室に呼ばれて、特待生試験の説明をされた
道明寺財閥が支援する形で今年、設立されたって
やっぱり道明寺だったんだよね
だからと言って、誰でも特待生になれない、外部からの受験者と公平に審査するって言われた
道明寺を傷つけたのに、こんなあたしにチャンスをくれるなんて…
必ず受かってみせる
そして道明寺に会いにNYに行く
あなたにありがとうを言う為に…

あ~やって誓ったものの、正直あれからずっとバイトと勉強でホント、クタクタだよ
勉強は何とか大丈夫そうだけど、なかなかお金が貯まらないな

ギギィ…バタン!

「ま~きの、やっと会えた」
「花沢類」
「どこいってたの?」

今日はお昼休みも返上で図書室で勉強してたから、非常階段にも来れなかったんだっけ

「あっ、うん…授業で解らないとこがあったから、休み時間に先生に教わってたの」

別に隠す事もないんだけど…

「それなら俺に聞いてくれれば教えてあげたのに」
「ハハハッ、三年寝太郎の花沢類に?」
「あれ、知らなかった?俺、英徳で一番だったんだけど」

エッ!?
授業も出ずに、寝てるか本を読んでるとこしか見た事がないんだけど

「ホ、ホントに?」
「牧野、俺らの卒業式に出たよな。答辞読んだの誰だったか覚えてねぇ~のか?」

あっ、西門さん、美作さん
そういえば花沢類が…すっごく不機嫌そうに読んでたっけ

「ああいったのは一番のヤツが読むって知ってるよな」

言われてみればそうだよね

「へぇ~花沢類って頭が良いんだね。知らなかったよ。西門さんと美作さんは?」
「俺らは天下のF4だぜ。上位を独占してるに決まってるだろ」

ホントあんた達って何やらせてもパーフェクトなんだ

「んな事より、牧野のバイト先に行くぞ」
「エッ!?」
「ククッ、牧野疲れてるみたいだから送ってあげるね」