Last Stage②


花沢物産の地下駐車場へ車を停め、見つからないように一旦外に出る

うわぁ~
今日はマスコミが沢山…

あれ?
あの人…たしか
あたしを質問攻めしたレポーター
あっ、この人は昨日お菓子をくれた人

ちょっといつもより緊張しちゃうけど、あそこを通らなきゃ入れないもんね

よし!

気合を入れて難なくマスコミの前を通りすぎ、受付に行く

「美作商事の者です。花沢専務に書類をお届けに参りました」
「はい、花沢より伺っております。あちらの重役専用エレベーターよりどうぞ」

フフッ
ここも難なくクリア
エレベーターに乗り
花沢専務秘書室へ向かう

秘書の斉藤さんが応対してくれた
会社の中で秘書の斉藤さんは、あたしと花沢類の関係を知る数少ない人物

「美作商事の者です」
「はい、伺っておりますが…」
「どうされたんですか?」
「あっ、いいえ、どうぞこちらへ」

コンコン

「はい」
「美作商事の方がお見えですが」
「お通しして」

秘書の方にドアを開けてもらい中へ入ると…

ん?
あの女性、たしか…
テレビの中の婚約者だよね
っていうか
何でこの人、こんなに席が空いてるのに、わざわざ花沢類の隣に座っているワケ!?
普通、向かい側に座るでしょうが!
しかも花沢類の肩にもたれ掛かっちゃって

「クククッ、どうぞお掛け下さい。あっ、悪いけど君、帰ってくれないかな。これからこちらの秘書の方と打合せを兼ねてランチに行くから」
「類様にお会いしたくてわざわざ来たのに…そうだわ!私もランチご一緒させて下さい」
「ホント悪いけど仕事なんだ、送って行くから」

おっと!
そんなあたしを睨まないで欲しいんだけど
お嬢様…

「あら、あなたどこかで見た事が…」
「ど、どこにでもある顔ですから、ハハハッ」
「フフフッ、そうよね、じゃ~類様、送って下さる?」

ってオイ!
すっごく失礼じゃない?
ふん!
どうせあたしはありふれた顔してますよ~だ!!!

「クククッ、斉藤さん、下に車回してもらえる?」
「はい、畏まりました」

な、なによ、このお嬢様
エレベーターの中でも花沢類の腕を掴んじゃって

エッ?
ちょ、ちょっと
も、もしかしてそのままマスコミの前に出る気じゃ…

パシャ!パシャ!

うぉ~
すっごいフラッシュ!
あ、あたしもあの中を通れっていうの!?
あ~もう知らない!!!

絶対大丈夫だったよね…
平気、平気
だってメインはあの2人だったんだし…
なんであたしがこんな目に…

って・・・
あたしが目の前にいるのになんでこの人、花沢類にベタベタ引っ付いてるかな
あ、甘えた声なんか出しちゃって
花沢類もされるがままになっちゃってさ
ふん!

エッ?
な、なによ
最後には誇らしげな顔をあたしに向けて・・・
もう着いたんだから
は、早く降りればいいじゃん!

もう何でかなぁ~
やっともらえたお休みなのに…

「ま~きの」

はぁ~
ヤキモチばかり妬いちゃって、あたしってめちゃくちゃ性格悪すぎ・・・

「牧野ってば」

チュッ!

エッ?
は、花沢類///

「なに一人でブツブツ言ってるの?」

ん~ダメだ…
何年たってもそのビー玉の目を見せられちゃうと…

「ううん、何でもないよ///」
「ククッ、今日は俺もこれからお休みだからランチの後、どこか行く?」
「エッ?ホントに???」

花沢類とお休みが一緒なんて滅多にないよね
すっごく嬉しい!

「取り敢えず食事しよ」
「うん♪」

ホントは堂々と食べに行きたいんだけど、花沢類は超有名人だし、あたしがこんな仕事してるから、大体レストランの個室か、ホテルの部屋になっちゃうんだよね…

でもまぁ~
花沢類といられるんだから贅沢は言えないよね///

一緒に住んで半年になるけど、殆どすれ違いで…
この間まで花沢類はフランスに行ってたし

「ねぇ~牧野、今日はメープルでいい?なんか司が帰って来てて、後で顔出すって電話あったから」

道明寺、日本に帰って来てたんだ…

「うん、いいよ」

道明寺がNYに行って半年後
あたしの本当の気持ちが花沢類にある事に気がついて、このままじゃいけないって道明寺に別れを告げた

その時

『何となくそんな気がしてたよ。やっぱり俺は類には敵わないな…牧野、俺の事は気にすんな、類と幸せになれ』

って言ってくれて…

それ以来会ってなかったけど、忙しいのにたまに電話してくれたり、メールをくれたり、普通に友達として付き合ってくれてる