Rain①-4


「牧野先生!牧野先生!」


あっ、いや

そんな大きい声で呼ばなくても・・・


「牧野先生、ご家族の方がお見えになって・・・あっ」

「牧野、こんな所で何やってんの」


は、花沢類・・・


「えっと・・・ひ、久しぶりだね」

「ふ~ん、医者になったんだ」


何だか雰囲気が昔と全然違う・・・


「う、うん・・・」

「もしかして父さんを治療したのって牧野?」

「そ、そうだけど・・・」

「時間ないから手間短に、どんな状態なのか説明してくれない」


冷たい目・・・

自分がしてしまった事だから冷たい態度を取られても仕方がない

でもあたしの心はあなたに会えて、こんなにもドキドキしている


「近い内に転院させるから、とりあえず意識が戻ったらまた連絡して」

「分かりました・・・」


昔なら天使の微笑みで『バイバイ、牧野』って言ってくれたのに、何も言わず、振り向きもせず帰ってしまった


あたしになんかに会いたくなかったんだろう

でもあたしは会いたくて、会いたくて堪らなかった


転院したらもう二度と関わる事も会う事もない

花沢類の顔が見れて、声が聞けて良かった

これで本当に諦められる・・・