「牧野先生!牧野先生!」
あっ、いや
そんな大きい声で呼ばなくても・・・
「牧野先生、ご家族の方がお見えになって・・・あっ」
「牧野、こんな所で何やってんの」
は、花沢類・・・
「えっと・・・ひ、久しぶりだね」
「ふ~ん、医者になったんだ」
何だか雰囲気が昔と全然違う・・・
「う、うん・・・」
「もしかして父さんを治療したのって牧野?」
「そ、そうだけど・・・」
「時間ないから手間短に、どんな状態なのか説明してくれない」
冷たい目・・・
自分がしてしまった事だから冷たい態度を取られても仕方がない
でもあたしの心はあなたに会えて、こんなにもドキドキしている
「近い内に転院させるから、とりあえず意識が戻ったらまた連絡して」
「分かりました・・・」
昔なら天使の微笑みで『バイバイ、牧野』って言ってくれたのに、何も言わず、振り向きもせず帰ってしまった
あたしになんかに会いたくなかったんだろう
でもあたしは会いたくて、会いたくて堪らなかった
転院したらもう二度と関わる事も会う事もない
花沢類の顔が見れて、声が聞けて良かった
これで本当に諦められる・・・