嘘①


はぁ~
これで何人目なんだろう…
道明寺がNYに行き、4年が経ち
思った以上に財閥という大きな壁を越えられず

「今はまだ帰れない…すまない」

と言われ半年が過ぎた

「あなたが牧野さん?」

上から下まで見ると笑みを浮かべ、あたしにそう聞いてくる

「えぇ、そうですが何でしょう?」

彼女は誇らしげな顔をしながら

「司さんと別れて下さらない?」

お金持ちのお嬢様って、なんで皆同じ態度を取るんだろう…
はいはい
あなたはあたしなんかよりとってもお綺麗でいらっしゃいますわ!
と心に思いながら

「別れるつもりはありません。では」

これはいつものパターン
道明寺が迎えに来ないと解かってから、特に多く次々とやって来る…
でも今あたしの家の前にたっているこの人はいつもと違っていたの
だって…あたしと同じ一般庶民だったから… 

今、あたしの部屋に座っている彼女、名前は

『河野恵さん』

洋服も靴もバックもあたしと同じ…
あたしの方が貧乏だけど一般庶民の物

「突然押しかけてしまってすみません…」
「いいえ」

私は彼女にお茶を差し出すと我慢していたのか、ポロポロと涙を流し始めた
彼女の話によると

2ヶ月前
お金を貯めてやっと憧れのNYに行った際
泊っていたメイプルホテルのバーで、酔っ払っていた道明寺が強引に彼女を部屋に連れて行き
関係を持ったらしい

そして彼女は
今、妊娠している…

「本当に道明寺の…」
「ええ、一応診断書を持ってきました」

あたしに診断書を手渡すと

「どうしても産みたいんです。この子の為にも道明寺さんと別れて頂けませんか?」

その先は記憶があまりない…
目を覚ますと病院のベッドだった 


「牧野…」
「花沢類…」

彼女が現れた日の夜
何度電話しても出ないあたしを心配して、家に来てくれた花沢類が部屋で倒れているあたしを見つけ、病院に運んでくれたらしい

「牧野、大丈夫?」
「うん…」
「聞いていい?」
「ん?」
「この紙…牧野が握り締めてたんだけど何?」

診断書と彼女の連絡先が書かれたメモ…
彼女とのやり取りを、憶えているだけ話し
花沢類にしがみ付き思いっきり泣いた

道明寺に会いたい
道明寺の声が聞きたい

あれからF3が道明寺に何度も電話をするが、一向に連絡が取れない
美作さんが診断書を調べてくれたけど本物で、やはり彼女は妊娠している…

そして1週間が経ち、あたしは道明寺に会う為、NYに向かった