月の特技③


「月!よく来たね!」

部屋に入るとすぐ、月を抱き締めるお祖父様…
社長の威厳がまるでないんだけど…

ハッ!
ゲッ!
パパ、かなりヤバイ

ママに肘打ちすると、ママもハッっとして、すごく焦った顔

「お、お父様、今日は…」
「あぁ~すまないね、急に呼び出して、さぁ~掛けて」

お祖父様が月を開放すると、パパが月を膝に乗せる
何とか大丈夫…かな!?

お祖父様のお話は、ママに洋服を本格的に作ってみないかって事だった
パパもその話を社内の人から言われていたみたいで、2人でママを説得
お祖父様もパパと同じビー玉の目の持主
ママは真っ赤になりながら撃沈した

企画部の人達が来て、企画案を見せてもらった
その中で、最初は渋々だったママが二つだけ条件を出した

①価格は庶民レベルで
②自分で作れる型紙も販売する

クククッ
何となくママっぽい
笑っていると、みんなの目線が僕と月に…

「モデルを使うとお金がかかって勿体無いから、陸と月にやってもらえばいいんじゃない?」

エッ?
モデル???

「いいんですか?」
「いいわよね、類!」
「別にいいんじゃない」

って言うか、勝手に決めないでくれる?

「ついでに翔君とかもどうかな?」
「翔君って…道明寺財閥のご子息の…」
「えぇ、後、西門総太君と美作つばさ君なんですけど…ダメですか?」
「い、いいえ!滅相もない、是非とも!」

話が決まると、ホント素早いね、ママ…
もう滋おばさんに電話してるし…
パパはず~と笑いっぱなし

でもさぁ~
僕…まだいいって言ってないんだけど


返事も聞かれないまま決まってしまった、モデル…

撮影の日、月は『いっぱい可愛い服が着れる♪』って大はしゃぎなんだけど、僕達、男4人はずっとムスっとしてる
月よりは着る数が少ないけど、めんどくさい
あまりに不機嫌な僕達に、カメラマンの人が困り果てていると

あ~
やっぱり出るか…

『月のウルウル上目遣い攻撃』

ダメだ…
僕にはママと月のダブル上目遣い
解かりました、喜んでやらせて頂きます

それから順調に撮影が終り、カメラマンの人もニコニコ顔

「季節毎に撮影だからこれからも宜しくね!」

って、ず~とやらなきゃいけないの?
はぁ~

その後、インターネットやカタログで売り出された途端、マスコミが大騒ぎ
洋服の注文は殺到

そして
『月&F4ジュニア』はアイドル以上の有名人になってしまった