「月!よく来たね!」
部屋に入るとすぐ、月を抱き締めるお祖父様…
社長の威厳がまるでないんだけど…
ハッ!
ゲッ!
パパ、かなりヤバイ
ママに肘打ちすると、ママもハッっとして、すごく焦った顔
「お、お父様、今日は…」
「あぁ~すまないね、急に呼び出して、さぁ~掛けて」
お祖父様が月を開放すると、パパが月を膝に乗せる
何とか大丈夫…かな!?
お祖父様のお話は、ママに洋服を本格的に作ってみないかって事だった
パパもその話を社内の人から言われていたみたいで、2人でママを説得
お祖父様もパパと同じビー玉の目の持主
ママは真っ赤になりながら撃沈した
企画部の人達が来て、企画案を見せてもらった
その中で、最初は渋々だったママが二つだけ条件を出した
①価格は庶民レベルで
②自分で作れる型紙も販売する
クククッ
何となくママっぽい
笑っていると、みんなの目線が僕と月に…
「モデルを使うとお金がかかって勿体無いから、陸と月にやってもらえばいいんじゃない?」
エッ?
モデル???
「いいんですか?」
「いいわよね、類!」
「別にいいんじゃない」
って言うか、勝手に決めないでくれる?
「ついでに翔君とかもどうかな?」
「翔君って…道明寺財閥のご子息の…」
「えぇ、後、西門総太君と美作つばさ君なんですけど…ダメですか?」
「い、いいえ!滅相もない、是非とも!」
話が決まると、ホント素早いね、ママ…
もう滋おばさんに電話してるし…
パパはず~と笑いっぱなし
でもさぁ~
僕…まだいいって言ってないんだけど
返事も聞かれないまま決まってしまった、モデル…
撮影の日、月は『いっぱい可愛い服が着れる♪』って大はしゃぎなんだけど、僕達、男4人はずっとムスっとしてる
月よりは着る数が少ないけど、めんどくさい
あまりに不機嫌な僕達に、カメラマンの人が困り果てていると
あ~
やっぱり出るか…
『月のウルウル上目遣い攻撃』
ダメだ…
僕にはママと月のダブル上目遣い
解かりました、喜んでやらせて頂きます
それから順調に撮影が終り、カメラマンの人もニコニコ顔
「季節毎に撮影だからこれからも宜しくね!」
って、ず~とやらなきゃいけないの?
はぁ~
その後、インターネットやカタログで売り出された途端、マスコミが大騒ぎ
洋服の注文は殺到
そして
『月&F4ジュニア』はアイドル以上の有名人になってしまった