スタートライン


今、俺の傍に牧野がいる

「牧野、泣かないで」
「ごめん、花沢類・・・道明寺の時に散々分かってたのに、やっぱり花沢類を好きになっちゃダメだったんだよ・・・」
「牧野、二人で南フランスへ行こう」

まさか数年前に考えていた事が現実になるなんて思ってもみなかった
牧野が好きだと気づいたあの頃は・・・


司と付き合い、道明寺楓に反対され、とことん傷ついていた牧野
司は道明寺財閥の跡取りを捨てられず、また更に牧野が追い詰められてしまった

道明寺財閥までとはいかなくても花沢物産も世界規模の大企業
もちろん俺と付き合っていたとしても同じ目にあう事は想像がつく
ただ司との違いは牧野の為なら、家を捨てる覚悟がある事

牧野を取り戻せた時に平穏な日々が過ごせるように事業を立ち上げた

祖父が俺に残してくれた南フランスにあるブドウ畑
祖父の趣味でワインを造っていたから今まで販売はしていなかったのを流通させた
運良く頼もしい友達がいたから、あっという間に軌道に乗った


「な、なんでいきなり南フランス!?」
「俺のブドウ畑があるから、あっちに住も」
「えっ?ブドウを作るの!?」

事業の事は何も知らないからね

「ブドウは専門の人が作るから、ただワインを売ってるだけだよ。二人であっちの大学に行きながら暮らそ
「それはムリだよ・・・大学に行くお金なんてないし」
「それは心配しなくていいよ。今までワイン売って儲けたお金が丸々残ってるから」

牧野が聞いたらきっとビックリする金額だろうね

「花沢類に甘える訳にはいかないよ」
「それじゃ、結婚しよ。そしたら二人の物になるでしょ」
「け、結婚!?」

クスッ、牧野かわいい
チュッ!

「どうせいつかは結婚するんだから今だっていいでしょ。それとも俺じゃイヤ?」
「イヤじゃない・・・結婚したい」
「ありがと、牧野。フランスで結婚式だね」
「よし!花沢類、早く行こう、南フランス!」

クククッ、牧野らしい

もちろんこのままでは終わらない
南フランスは二人のスタートライン
いつか必ず俺と牧野を認めてもらうから