あたしには為す術もなく、言われたまま家族全員でサンフランシスコへと渡った
おそらくどんな力を使っても探し出せないようにして・・・
渡米して一ヶ月位は本当に無気力だった
パパやママは持ち前の明るさで直ぐに馴染み、進も留学出来るなんて夢のまた夢だったからと一所懸命頑張っていた
そんなみんなを見てる内、あたしも持ち前の雑草根が芽生えてきた
このままじゃいけない
人に頼る生活なんてあたしらしくない
少しずつでも返していく
そう心に決めてバイトをしながら医学の道へと進んだ
花沢類達とはまったく関係のない仕事につきたい
あたしらしい、人の助けになる職業は何かと考えてこの道を選んだ
でも正直、半端じゃなく過酷で死にものぐるいの日々だったんだけどね
がむしゃらに頑張って、ようやくあたしが医師免許を取った頃、道明寺と滋さんが結婚したんだよね
やっぱりと言うか、当然かな、連絡は来なかった・・・
でも二人の結婚となると世界中が大騒ぎになるからね
花沢類は・・・
色々な人達と噂にはなっているけど、未だに結婚していない
う~ん!
夜勤の時は色々考えちゃってダメだ
昼間と違ってザワザワしてないせかな
ブルル ブルル
「はい、牧野です」
「先生、交通事故で搬送されて来ます。至急お願いします」
「解りました、直ぐに行きます」
この雨でスリップでもしたのかな
大きな事故じゃなきゃいいけど
「僕がこっちの患者を見るから、牧野先生はその男性を」
「はい」
この人・・・
見た事がある
花沢類のお父さんだ