心の扉⑩-1


先輩がNYへ行って直ぐに婚約の噂があって、その後は何も連絡をして来ないから道明寺さんと上手くいっているのかと思っていた


花沢さんから連絡を貰って大まかな事は聞きたけど・・・


やっぱり先輩、自分の気持ちを偽れなかったんでしょうね

NYへ行く前の先輩と花沢さんは誰が見ても2人でいるのが自然で幸せな感じだったから


昨日は帰国した事、花沢物産に入った事、花沢さんの事、先輩にしては上手く言い訳していたけれど、きっと・・・


それにしても先輩、花沢さんの婚約発表なのに気持ちよさそうにぐっすり寝ちゃって

まぁ~先輩らしいんですけど


花沢さんはこれからどうするんだろう

先輩を心配して私に連絡をして来たという事は、おそらく花沢さんはまだ先輩を忘れてない

でも正式に婚約となれば体裁もあるだろうし、そう簡単には・・・


先輩に近づいて来てる川島っていう人も何故か気になる


「先輩、いい加減に起きて下さい。もうお昼ですよ」

「ん・・・」


先輩には幸せになって欲しい

この先、2人にどんな苦難があったとしても


「せっかくのパーティーに浮腫んだ顔で出るんですか」

「・・・ん?パーティー・・・やだ、起きないと!桜子、何でもっと早く起こしてくれないのよ」

「まだ時間はありますから。とりあえず昼食にしません?ルームサービスを頼んであるんで」


こんな風に何も考えず、寝てしまったり、無邪気にご飯を食べている所とかが先輩のモテる秘訣なんですかね

私にはもちろん真似出来ないですけど


「ドレスに合わせてヘアメイクしますんで、先輩どれを着るのか決めて下さい」

「ドレス出して置いてくれたんだ。ありがとう。川島部長のドレスってどれかな?」

「せっかくなんで自分の気に入ったのを着たらどうですか」


3つとも全然違うタイプのドレス

先輩はどれを選ぶんでしょうね


「で、でもパートナーから頂いたのを着ないとマズイでしょ?」

「先輩がどれを選んでも私が上手く誤魔化しますから大丈夫ですよ」

「そう?それじゃ~これがいい!」


迷いもせずにそのドレスですか


「あっ、やっぱり似合わないかな?あたし、こういうの慣れてないから桜子に選んで貰った方が・・・」

「先輩らしくていいと思いますよ」

「そうかな?ねぇ、桜子、このドレス、誰からのプレゼントなの?」

「内緒です。先輩、知ってたらアタフタしそうなんで」

「ハハハッ・・・よく分かってるよね」


どうやって誤魔化すか、作戦を練らないと・・・

一筋縄じゃいかない相手かもしれないから