Uneasiness⑩-6


実家から空港に向うまではマスコミの人に追われる事はなかったけど、空港ではやっぱり沢山・・・
先に到着していたSPと花沢類に守られながら、なんとか中に入った

「おい、類!お前らどこ行ってたんだよ」
「つくし、一緒に行こうと思って類君ん家に行ったらいないんだもん」
「ご、ごめんね、あのね・・・え~と」
「牧野ん家に行ってた」

そうなのって花沢類、そんなサラッと///

「あ~そうだよな、次に帰って来た時はパーティーだもんな」
「うん。あそこに大勢いる人達には一応当日に発表するから」
「おっ、そういえば昨日、司に言っちまったけど大丈夫か?」
「司になら別にいいよ」

どうせ司の母ちゃんの事だから、すぐ解っちゃうと思うしね

「じゃ~行くね、みんな悪いけど後少し、牧野の事お願い」
「大丈夫だから心配すんな、類」
「牧野、パパ達の事は花沢できちんとするから安心して。じゃ~行って来るね」
「うん、ありがと、花沢類。あまりムリしないでね」

今まで何度かこうやって花沢類を見送ったけど、泣かずにいられたのは初めてかな

だってこれが最後
次に戻って来た時はずっと一緒にいられるから


あれからどうやって知ったのか、花沢類があたしの実家に行ったってマスコミが嗅ぎつけて、実家の近くをウロウロしはじめたけど、花沢類が言ってたように、花沢の人達が協力してくれて、気付かれないように少しずつ荷物を運んで、無事引越しが出来た

あたしもビックリしたけど、もの凄い高級マンション

花沢物産の所有する賃貸マンションなんだけど、最上階の一室だけ花沢類が持ってて、そこに住まわせてもらう事になって
昼間はこのマンションの管理人としてパパが働けるようにしてくれた

「誰も住んでないなんて勿体無いし、丁度管理人さんがいなかったから」

花沢類はそう言ってくれたけど、きっとパパ達の為に…だよね
何もかも花沢類にしてもらって、甘えてばかりで…
パパもそうだけど、あたしも少しずつでも返せるように頑張らないと

パパ達の引っ越しが終わって落ち着いた頃、今度はパーティーの招待状が配られた

名目は

『花沢物産創立記念パーティー』

大がかりで婚約パーティーをするのかなって思って身構えてたけど、何だかホッとした
もちろん創立記念パーティーも緊張するけどね

マスコミは今のところ、花沢類はフランスから9月に帰って来るって思っているみたいで、その後に婚約かって騒いでいるから、とりあえず安心
未だに三角関係って報道してるトコもあるくらいだし

あたしの大学の成績も大丈夫だったし、翻訳の仕事もバッチリ
ホント何もかも上手くいきすぎて、何だか怖いって感じ
でも大丈夫だよね、明日が本番なんだから


ん~
早く寝なきゃいけないのに、こんな高級なホテルに泊ってるからかな、まったく眠れない
当日はきっと花沢邸の周りにマスコミがいるだろうからって、花沢類が前日にパーティーをするホテルに泊れるように手配してくれたんだけど

はぁ~
なんかホント色々考えちゃって眠れないよ
花沢類がいてくれたら、ぐっすり寝れそうなんだけどな
今、なにやってるのかな

プルルル
プルルル

うわぁ!びっくりした
は、花沢類からだ

『もしもし花沢類?』
『牧野、寝てた?』
『ううん、何か色々考えちゃって眠れなくって、ハハハッ』

花沢類の事考えてたら、電話が来て、何だかすっごく嬉しい

『興奮して眠れないの、牧野。ククッ、子供みたい』

なっ、失礼な!

『そ、そんな事ないわよ』
『牧野、ごめんね。ホントはもう日本に帰ってるはずだったんだけど』
『花沢類、大丈夫だよ、仕事なんだから気にしないで』
『ありがと。パーティーが始まる1時間前くらいになっちゃうと思う』
『うん、解った。花沢類、仕事戻らないとまずいでしょ、フフッ、呼んでる声が聞こえるよ』
『うん。じゃ、牧野おやすみ』
『頑張ってね』

う~ん
花沢類の声が聞けてホッとした
なんか眠れそう…