Uneasiness⑮-1


1ヶ月後の道明寺邸

「牧野、終わったの?」
「あっ、うん。でもみんなは最終的にどれにするか決めてから来るって」

つ~か、久しぶりにF4の休みが重なったからって
昼間っからそんな飲んじゃって…

「ほら牧野こっちに座れよ。すっげぇ~疲れたきった顔してるぜ」

そりゃ~そうでしょ
あたしは着せ替え人形じゃないっつ~の!
みんなの気持ちは嬉しいんだけどさ、何十着もウェディングドレスを着せる事はないんじゃない?

その他にみんながデザインしたスケッチ画を何十枚も見せられて
しかも優紀まで…いくら滋さんや桜子に言われたからって、最低ノルマ十枚をこなしてこなくてもいいのに

「なぁ~牧野、桜子のデザイン画、すっげぇ~枚数だったろ。桜子が俺ん家で描いてたらお袋まで描き始めちまってよ」
「ホントすっごい枚数だったよ!全部桜子がって思ってたけど、半分位はフリフリの可愛い感じのだったから納得だね」
「俺様も描いてやったんだぞ!一枚だけだけどな」

エッ!?
ど、道明寺が!?

「ククッ、司が絵なんか描くなんて激レア」
「フン!うるせ~ぞ、類!」
「あ~そういえば、ハハハッ!子供のお絵描きみたいなのが一枚あったっけ」
「牧野、テメェ~!」

ダダダダッ
ガシャ!

「お待たせぇ~!」
「おっ!やっと決まったのか、滋。もちろん俺様の…」
「あっ、司ストップ!」
「道明寺さん、申し訳ないですが、朝からほとんど食べずにいたので、まずは私達に食事させて頂けません?」


「なぁ~司、ずっと聞こうと思ってたんだけど」
「あ?なんだ、あきら」
「支社長就任パーティーで類達の結婚報告した時、司すっげぇ~恐い顔して類達に何か言ったじゃん。その後、牧野の顔が青ざめちまってどうなるかとヒヤヒヤしたんだぜ。あん時何言ったんだよ?」

そうあたしも
道明寺の顔を見て、あの言葉を聞いて、今度は何を?って思ったのに、みんなに向けて発した言葉は、一転して祝福の言葉だった
ホント何だか意味が解らない展開だったんだよね

「俺もあん時、牧野の顔を見て、ヤバい、今度は何する気だって思っちまったよ」
「フン!バカかお前ら。俺様があんな席で暴れたりする訳ねぇ~だろ」

イヤイヤ
道明寺なら十分あり得るでしょ

「先輩は鈍感ですから解りますが、お二人共まだまだですね。私はあの時、花沢さんの顔を見て大丈夫だと思いましたけど」

ちょっと桜子、鈍感って…
そりゃ~たしかに解らなかったけどさ

「チッ!類、解ってたのか」

ククッ
司、たしかに恐い顔してたけど、目が優しかったからね

「ねぇ~司、すべてはここからだってどう言う意味?」
「おいおい類、頼むから俺らが解るように話してくれよ」
「面倒くさい」
「もう花沢類ったら!あのね、あの時『すべてはここからだ、安心してんじゃねぇ~』って言われたの」
「先輩、その言葉を鵜呑みにして青ざめちゃったんですか」

だって、あの形相で言われたら…