Rain①-1


今日も雨か・・・

花沢類と別れた時も雨だったな


何で花沢類を好きになってしまったんだろう

何で今もこうしてあたしの心の中にい続けているんだろう


こうやって雨が降る度にあの時の事を思い出す・・・もう10年も前の事なのに

花沢類と過ごした日々はあたしにとって一番幸せだった

花沢類と別れるまでは・・・



10年前・・・

バイト先に突然現れたビー玉の瞳を持つ男性

一目で花沢類のお父さんだと解った


「牧野さんだね。急に申し訳ないが一緒に来てもらえるかな」

「あっ、でも・・・」

「こんな雨だからお客様もあまり来ないだろうし、つくしちゃん、上がっていいわよ」

「す、すみません・・・」


何となく想像はついていた

道明寺の時と同じだと・・・


そしてやはり連れて行かれたのは花沢邸


花沢類と同じ瞳で花沢類とは正反対の言葉を言われた


「類とは別れてもらう」


花沢類とあたしは住む世界が違うのだと解っていたのに・・・

でも花沢類がどうしょうもなく好きで気持ちが抑えきれなくて・・・

こうなることも解っていたのに・・・


「君がいると目障りだ。明日から類の前から消えてもらう」

「あ、あの・・・」

「もちろんこちらの都合でいなくなって貰うのだから費用は全て出しますよ。ククッ、君の家では無理だろうからね」


本当に惨めだった

この時、もう二度とセレブとは関わりたくないと心に決めた



この後、どうやって家に帰ったのかはあまり覚えていない

雨に濡れたまま気がつくと家の前に花沢類がいた


「牧野!」


ずぶ濡れのあたしを抱きしめてくれる

この温もりも今日で最後


「離して、花沢類」

「牧野、どうしたの」


あたしは最大の嘘をつく


「やっぱり忘れられないの・・・」

「牧野?」

「ごめんなさい・・・あたしが好きなのは花沢類じゃない」

「もしかして・・・司?」

「あたしの事はもう忘れて・・・バイバイ、花沢類」


花沢類が嫌いになった訳じゃない

ただもう疲れきってしまったの