Rain①-3


外傷は殆どなかったけど、頭を強く撃っていてまだ意識は戻らない

CTの結果、脳には異常はなかった


「あたしはこれで上がるけど、心配だから意識が戻ったら連絡して貰えるかな」

「はい、牧野先生。お疲れ様でした」

「あっ、そう言えば身内の方には連絡着いたの?」

「はい、この患者さんってあの有名な花沢物産の社長だそうですよ」

「・・・そう、それじゃ~後はお願いね」


専属の主治医がいると思うから直ぐに転院かな

花沢物産の社長が事故なんてバレたら大騒ぎになるだろうしね


もう二度と会う事はないと思ってた

でもきっと大丈夫・・・

あたしの事なんてきっと覚えてないと思うから


はぁ~

まだ雨が降ってる

あたしも帰りの運転、気をつけなきゃ


キキィ~

バン!


あんな正面玄関に車を止めちゃって、急患なのかな


「あの、すみません!待って下さい!ここに車を停められては困ります」

「はい、これカギ。あんたが移動して」

「えっ?は、はい・・・あ、あの」

「花沢社長、どこ?昨日運ばれたんでしょ」

「はい、え~と・・・さ、3階の特別室です」


えっ・・・

花沢類・・・


まさか花沢類が来るなんて・・・

お父さんが運ばれたんだから来るのは普通なんだけど


でもどうしよう・・・

あんな別れ方をして、突然姿を消して、どんな顔して会えば・・・

とりあえず今は引き継ぎした先生にお願いしよう