星に願いを(つくし視点)②


あの後、まさかこの軽井沢の別荘に連れて来られるなんて思ってもみなかった
ホント何の疑いもなくバイト先に送ってくれるんだって思ってたら、お店の前に桜子と滋さんがいるし、お店は閉まってるし…
女将さんには売る商品が無くなっちゃったからって、二日分のバイト代ねって大入り袋を渡されて…

わけが分からないまま、また車に乗せられて、軽井沢へ
ホントお金持ちはやる事が違う
でも嬉しかった
みんながあたしを心配して、元気づけようとしてくれたなんて
ただ心配してくれてる理由がちょっと違かったけどね、フフッ

「なに笑ってるの、牧野」
「去年の今頃は今日とは違って賑やかだったな~って」
「そうだね。この別荘があんなに煩かった事なんて初めてだったかも」

高級食材を使って初めて作った料理と高級ワインで乾杯して、その後質問責めされて、花沢類と流れ星を見て
フフッ、朝まで騒いでたっけ

「またみんなで来れたらいいのにな」
「俺は牧野と二人きりの方がいいけどね」

は、花沢類///

「え、え~と…そ、そういえば花沢類はあの時、なんのお願いしたの?」
「クククッ、あんたってホント可愛いんだから」

あっ…
…うん…ん…んん…

花沢類…///

「来年もね、ここで牧野と過ごしたいって願ったんだ。牧野が叶えてくれた」

花沢類が来年もここに来るって言ってたから…

「後、司も…かな」
「…うん」

三日前、花沢類にメールをして、道明寺に会う為にNYに行った
どうしても11月22日に軽井沢に行きたかったから
道明寺ときちんとしてから、花沢類に会いたかったから
ホントはまだちょっとお金が足りなくて、生活費を使っちゃったんだけど
でもいざNYの道明寺邸に行くと足がすくんじゃって
ここにはあまりというか、いい思い出がないから…

「おい、牧野!お前、いつまで邸の前でウロウロしてんだ」

あの時、いきなり道明寺が現れてビックリしたんだよね
あたしったら道明寺に連絡も入れずにNYに来ちゃって、どうしようって邸の前をウロウロしてたから
花沢類には行く前にメールしたくせに、道明寺には連絡しないなんてホントあたしって…

「ハハハッ、良かった。道明寺がいてくれて」
「クソ忙しいのに俺様が偶然いるわけねぇ~だろ。ったく」

そうだよね
道明寺はそうやってずっとあたしを見守ってくれたんだから
特待生が決まった時もあたしより早く知ってたし、あたしの誕生日には日付が変わると同時に電話をくれて、卒業式の時も…

「あ、あたしったら気だけ焦っちゃって、つい…ご、ごめんなさい」
「ふん。ホント変わんねぇ~な、お前は」
「あ、あのね、道明寺」
「お、お前まさか、んなとこで、はい、さようならってんじゃねぇ~よな」

いや…
だって邸に上がり込むわけにもいかないし、道明寺だって忙しいだろうし…

「これから泊まるとこ探さなきゃいけないし、明日には日本に帰らなきゃいけないからさ」
「はぁ?お前、NYまで来て、たった1日で帰るのか」
「だって悠長に旅行なんて出来る程、あたし裕福じゃないから…」

飛行機代の他にホテル代とか食事代とか…それに軽井沢に行くお金も必要だから

「まったく、今日は邸に泊まれ。明日、空港まで送ってやるから」
「エッ!?そ、そんな…道明寺にこれ以上、迷惑かけれないよ」
「今更なに言ってんだ。最後なんだからそれくらいさせてくれ」

…道明…寺…

「ホ…ホン…ト…ご、ごめ…ん」
「んな、泣くな。ブスが余計にブスになるぜ」

何度も何度もありがとうって言ってたら、うるせ~って怒鳴られちゃたけど、本当に何度言っても足りないくらい
花沢類の事も、ずっと見守ってくれた事も、今回だって美味しい料理を食べさせてくれて、泊まらせてくれて、その上空港まで…

『お前が幸せならそれでいい。類なら大丈夫だ』

そう言って見送ってくれた

そして日本に帰って来たら…また道明寺にありがとうって言わないいけないって思った
フフッ、怒られるから電話はしなかったけどね

「花沢類、どうやって軽井沢まで来たと思う?」
「司んちの車?」
「うん。運転手さんに軽井沢でよろしいですかって言われたの」

ホント何でもお見通しって感じ

「今度は俺が司に会いに行って来る。牧野を絶対に幸せにするってね」

ありがと、花沢類
あたしの願いも花沢類と道明寺のお陰で叶ったよ

「「あっ、流れ星」」

また三回お願いしたけど、やっぱり流れ星は消えちゃってるよね
でもここで見る流れ星は特別かもしれない
二人の願いが叶ったんだから

「牧野、今度は何をお願いしたの?」
「もちろん、教えてあげない!」
「ケチ」
「だって話したら願いが叶わなくなっちゃうもん」
「じゃ~叶ったら教えてくれるの?」
「フフッ、無理かも」

今回は一生言えない願い事だからね

花沢類と永遠に
一緒にいられますように