すれ違い 前編1


~空港~

「「よぉ!」」

あっ、西門さん、美作さん

「わざわざ見送りに来てくれたの、ありがとう!」

あれ?花沢類は…

「類も誘ったんだけど、どうしても仕事が抜け出せないからってさ」

そっか…仕方ないよね
大学に入ってから会社と大学と両立してるから、色々と忙しいもんね

でも…
当分会えないから、顔が見たかったな

「しっかしよ、こんなに早く牧野がNYに行くなんて思ってもみなかったぜ」
「そうだよな、四年待たずにたった一年なんて、つくしちゃん随分と大胆になったな!」

もう!
西門さんったら、またつくしちゃんなんて呼んで!

「日本にいるより、色々学べるから行くだけでしょうが!」
「司との将来の為だもんな、頑張ってこいよ!」

あっ、それはちょっと…

「司によろしくな!いちゃついてばかりいるんじゃねぇ~ぞ」

だ、だから、え~とそれはね…

「牧野、飛行機に乗り遅れるぞ」

エッ?
やだ、ホントだ、後五分しかない!

「ごめん、乗らなきゃ!じゃ~ね、今日は見送りありがとう」



「牧野行っちゃったね」
「る、類!お前、来るの遅せ~よ!」

牧野が空港に着く前から来てるから、別に遅くはないけど

「なんか前にも同じ事があったな、確か静がフランスに行く時だったか」

まったくあきら、そんな過去の事言わないでくれない?

「つ~事は、類!」
「行くよ」
「おっ、やっぱりか!NYで司とバトル…頑張れよ、類!」
「何かあったら直ぐに呼べよ、NYまで俺らも行くからよ」

二人で盛り上がっているけど
クククッ、きっと何もないから安心して

「じゃ~行ってくる、フランスに」
「お、おい…」
「類…」


まったくお祭りコンビ二人は他人事だと思って、勝手に盛り上がっちゃってさ
NYに行けるはずないでしょ
牧野が自ら司のトコ行ったんだから

何で俺…もっと早く牧野が俺を好きでいてくれてる間に、自分の気持ちに気がつかなかったんだろう
牧野が気になって、顔が見たくて、いつも非常階段に行ってたのに

そう言えば…クククッ
いつも一生懸命で、大声で叫んでたっけ

ちょっと照れた顔で花沢類って言ってくれる牧野が可愛くて、何度も抱き締めたくなった
我慢出来なくて、頬にキスした事はあるけどね
牧野、真っ赤になってホント可愛かったな、クスッ
司の彼女だって何度も忘れそうになったし
このまま俺の傍にいてくれたら…
あの笑顔を見ていられたら…

クククッ、叶わないって思ってたけど、ずっと願ってた

せめて、司が戻るまでは傍にいて欲しかったのに…
たった一年でいなくなちゃうなんて
そんだけ司が好きって事なんだろうけど
あの牧野が自分からNYに行ったんだから

はぁ~
きっと俺、何年たっても牧野を好きな気持ちは変わらないじゃないかな

クククッ、ホント牧野って最強の女だね
この俺が夢中になっちゃうんだから

でも忘れなきゃいけないんだよね
牧野が幸せなら…それが俺にとって一番大事だから

ただごめん、牧野

やっぱり、あんた忘れるのは難しいから、何か逃げるようにフランスへ行くように見えて、俺、めちゃくちゃカッコ悪いけど、俺がケジメをつけるまでは戻らないからさ

牧野に笑って良かったねって言えるようになるまでは…