Uneasiness⑪-5


「しかし、せっかく婚約した喜ばしい日に、あり得ねぇ~よな、こんな展開」
「いや、さすがは司だよ。牧野が婚約する土壇場になって記憶取り戻すんだから」

ククッ
ホント牧野の事になると、野生の勘が働くみたいだね、司

「でもよ、これから何してくんだろうな、牧野に猛獣ラブラブアタックしてくるかもな」

な、なによ
その猛獣ラブラブアタックって、あり得ないつ~の!

「ククッ、司の事だから牧野に突進してきそうだよね」

は、花沢類まで…

「先輩が気持ちをしっかり持ってないと、すぐ道明寺さんにやられちゃいますよ」

桜子なに言ってるのよ
あたしはそんな容易くやられたりしないんだから!

「そうだぞ、牧野。お前がフラフラしてたら猛獣にすぐ捕まるからな、牧野次第なんだから心をしっかり持てよ」

わ、解ってるわよ、美作さん

「つくし、類君を不安にさせないようにね」

滋さん…

「うん、みんなありがと。大丈夫だよ!何があったって、あたしは…え~と、その…花沢類が好きな事は変わらないから///」

ククッ、牧野、可愛い

チュッ!

「もう、花沢類///」
「まっ、そんだけラブラブなんだから大丈夫だろ」
「んじゃ~これからどうすっか、司に会っていくか?」
「あ、あたし、きちんと道明寺に話しなきゃ…」
「牧野、今日は止めよ。もう少し司が落ち着いてからの方がいいと思う」

そうだよね
記憶を取り戻したばかりだから、色々混乱してるだろうし

「うん、そうする」
「じゃ~俺らも明日にすっか、八つ当たりされちゃ、体がもたないしな」


ちくしょ~!

ガシャン!

俺は何で牧野の事、忘れちまったんだ
あんなに大切だったのに…

忘れている間、牧野がどれだけ傷ついたか…
あの時やっと・・・やっと手に入れたのに
牧野、どうして待っていてくれなかったんだ

あの南の島で『ずっと一緒にいたい』って、言ってくれたよな
それなのに何で・・・

それもどうして、相手が類なんだ・・・

やっぱり俺は類には敵わないのか?

いや、類は初恋の相手だったかもしれないが
その後、牧野は俺の事を好きになった

取られたら取り返す
ただそれだけだ


プルルル

『西田、俺だ。頼みたい事がある』



~NY道明寺オフィス~


「西田、司さんからかしら?」
「はい、司様の記憶が戻られたそうです」
「フフフッ、そう。牧野さんが婚約するって知って、土壇場で記憶が戻るなんて・・・これでやっと同じ土俵に上がれるって事ね」
「はい、ですが、司様はまだNYを離れる訳には・・・」
「婚約って言っても、すぐに結婚はしないでしょう。とりあえずあと半年間、日本に行く機会があれば、すべて司さんに」
「はい、畏まりました」

花沢社長、これからどうなるか楽しみですわね
婚約はいつでも簡単に破棄出来るんですから