Uneasiness⑫-3


でもさ、道明寺が日本に来ても忙しいだろうし、会う時間なんかないんじゃないかな

それにマスコミを押さえただけで、他に何もしてこないし…
もうあたしの事なんか、何とも思ってないんじゃないかな

「先輩、そんな事、絶対にありえませんから」

ヘッ!?
あっ…またやっちゃった…
はぁ~

「牧野の独り言はいつもの事だろ、ハハハッ!」

ちょっと西門さん、そんな笑わなくたって…

「ククッ、司は必ず牧野に会いに来ると思うよ。おそらく、俺が傍にいない時にさ」

花沢類…

「花沢邸には来ないと思うから、大学に行ってる時間か…司がいる間、類に仕事を休ませるワケいかないしな」
「大丈夫、あたし一人で。これはあたしと道明寺の二人の問題だから」

そう…二人で話し合って、解決しなきゃいけない

「でも先輩に何かあったら…昨日、滋さんから電話があったんですけど、毎回会う度に先輩の事、しつこいくらいに聞いてくるってため息つきながら言ってましたから、きっと…」

滋さん…あたしのせいで嫌な思いをさせてしまって

「一応SPがついてるし、牧野は気がついてないみたいだけど、GPSもついてるから大丈夫だとは思うけど」

はい?
GPSって…ど、どこについてるの!?

「牧野、どこについてるのか知りたい?」
「う、うん。だってあたし全然気がつかなくって…」
「ククッ、そのネックレスと指輪、それと携帯電話」

さ、三ヶ所も!?
こんなに小さい物の中に…
ホント世の中って凄すぎ

「携帯は電源をおとしたり、持ってなければ意味がないですし、ネックレスは切れるおそれもある…指輪ならなかなか外す事はない。三種類あって全て作動しないって事は殆どありえませんからね」

あっ、そういう事か…
でも道明寺って、これじゃ~ホント猛獣扱いだよね
ハハハッ!

「牧野、司と話をしている時には必ず近くにいるから安心して。俺が必要ならすぐに駆けつけるから」

今朝、邸を出る時に花沢類がくれた言葉
大丈夫、きっと解ってくれる

「牧野…」
「道明寺」

お願いだから道明寺…
そんな目で、そんな悲しいそうな顔で見ないで

「話がしたい…俺に時間をくれないか?」
「うん、いいよ。でも花沢類に連絡してもいい?」
「類とお前の今の関係は一応理解はしてるが、俺は牧野と二人で話がしたい」
「うん、解ってる。ただ花沢類に心配させるワケにはいかないから」
「チッ、解ったよ。メープルのスウィートで話をするって伝えろ」
「ありがと、道明寺」

フフッ
昔の道明寺なら、絶対に力ずくで連れて行ってたよね
それだけ年月が経ったって事か…道明寺が成長したんだもんね

「おい、さっきから何一人でニタニタしてんだよ」
「フフッ、何でもないよ」
「まったくよ、俺様が類に電話すっから、お前は早く車に乗れ!周りが煩くってたまんねぇ~」
「あっ、うん…」

で、でもさ、花沢類にはあたしがかけた方がいいんじゃないかな

ピッ、ピッ!

『類、俺だ』
『司、なに?もしかして牧野と一緒?』
『あぁ、これからメープルのスウィートで話をする。そのまま帰えすつもりはないからな』

なっ、何言ってんのよ、道明寺!

ガツン!

「痛てぇ~な!蹴る事ねぇ~だろ」
「あったり前でしょうが!あんた、花沢類に何言ってんのよ!」
「ふん!本音を言っただけだろが」
「ばっかじゃない!まったく何考えてんのよ、ほら、電話かして!」
「あっ…おい!」

『花沢類?』
『クククッ、相変わらず凄いね、二人のやり取り』
『だって道明寺が花沢類に変な事言うから』
『大丈夫、牧野?』
『う~ん…やっぱり…二時間後に迎えに来てくれる?』

「帰さないって言ってるだろうが!」
「あんたはうるさい!ちょっと黙ってて」

『クククッ、解った。俺もこれからメープルに向かうから安心して』
『ありがと、花沢類』