夏①


ん~気持ちいい!
梅雨だけど、今日はカラッとしてていい感じ!
もうすぐ夏なんだよねぇ~
夏と言えば…

うん!
やっぱり海よ、海!
とは言ってもね…
道明寺はNYだし、今年もバイト三昧かな
はぁ~あたしの青春って一体…

「ま~きの」
「類!今日は随分と早いんだね。フフッ、でもまだ眠そうだよ」
「牧野が悪いんでしょ」

へッ!?
あたし何かしたっけ?
大学に来て講義受けてただけだけど…

「ねぇ~牧野、司から貰った、ククッ、あのやたらとデッカイ婚約指輪しなくていいの?」

ゆ、指輪?
あの指輪と何か関係あるの?
でもただつけないだけで、類に迷惑かかる訳ないし…

「あんなの普段つけられないっつ~の!押入れの奥にしまってあるわよ」 

貸金庫があるなら、そこにしまっておきたい
何億もする指輪なんて…

まぁ~
あんなボロっちいアパートに、そんな物あるなんて誰も思わないだろうけど

「クククッ、司かわいそ」
「ねぇ~類、そんな事より何であたしが…」

ピピッ…ピピッ…

「はい、司から。牧野の携帯繋がらないって、朝早くから司、しつこい」

ゲッ!
あたし、携帯…電池…き、切れてる

「類、ごめんね…」

ピッ!

『類!まだ牧野掴まんねぇ~のか!まさかお前まだ家で寝てるなんて事ねぇ~よな』
『ちょっと道明寺、朝から類に迷惑かけないでよ』
『おっ、牧野か。しっかし気に入らねぇ~な、類は名前で呼ぶくせに何で未だに俺様は道明寺なんだ?司って呼べ!』

そ、そんなの今更恥ずかしくって
い、言えないわよ///

『そ、そんな事より何か用?あたしこれから講義に出るから時間ないんだけど』
『チッ、俺様がわざわざ掛けてやってんのに、ちっとは嬉しそうにしろ』

う、嬉しいに決まってるでしょうが///
最近、特に忙しいみたいで、あまり連絡くれなかったし
っていうか、ホント時間ないんだけど
講義に遅れちゃう

『はいはい、とっても嬉しいです。道明寺、特に用がないんならもう切るよ』
『ちょっと待て!まったく、お前は…来週一週間、バイト休め。日本への出張が決まった。ババァのヤツ、ようやく日本に出張させる気になったらしいって言っても、ババァのスケジュール調整が上手くいかずに仕方なくだけどな』

エッ!?
日本に出張…

『ホ、ホントに?来週、日本に帰って来るの?』
『あぁ、二日間だけだが無理やり休み取ったからどっか…夏だからな、あの島にでも行こうぜ』
『うん!楽しみにしてる』
『おぉ、じゃ~な。時間ないのに悪かったな、あんま無理すんなよ』

フフッ
道明寺が帰って来る
しかもあの島に
連れて行ってくれるなんて

でもどうしよう、あたし水着ないし…
まさか本当に行けるなんて
お、思い切って買っちゃおうかな!
うん、そうしよう

「ま~きの」

ヘッ!?
あっ…いけない
類がいたんだっけ

「ハハハッ、類、ごめん。それと携帯ありがと」
「良かったね、牧野。司、帰って来るんでしょ」
「うん、来週ね!二日間お休みも取れたから、前に行った島にまた連れて行ってくれるって!すっごく楽しみ」

すっごく嬉しそうな顔しちゃって
でもさ、牧野忘れてない?

「牧野、講義出なくていいの?」
「ヤッ、いけな~い!ち、遅刻だ…じゃ~またね、類。今日はごめんね」

クククッ
ホント牧野は忙しないんだから
でも司が帰って来るのか…
島に行くって言ってたよね
クククッ、なんかおもしろそ
やっぱりこういう時は総次郎とあきらだよね

道明寺が帰って来るのが待ち遠しくって、時間が経つのが遅く感じたけど
フフッ、やっと道明寺に会える!

大事な客と一緒に帰国するから、直ぐにでも会いたいが、今回は迎えに来なくていいからな
その代わり夜、邸に来いって言ってたけど…ホントだ
何だかすっごく偉そうな人と一緒
ふ~ん、道明寺もこうやって見ると、さすがに大企業の御曹司だよね
すごく様になってる…っていうか、カッコいい///
有名人の彼氏だと、色々大変な事が多いけど、こうやって最新情報が見れるから便利よね

「先輩、いくら家の中とはいえ、一人でニヤニヤして気持ちが悪いですよ」

ヘッ!?

「さ、桜子!あんた、どうやって入ったのよ」
「玄関、開いてましたけど。何度ノックしても出ないと思ったら、先輩、道明寺さんに見とれてたんですね」

見とれてたって…まぁ~たしかにカッコいいなって見いっちゃったけどね///

「で、何で桜子がココにいる訳?」
「迎えに来たんですよ。先輩、なに呑気にしてるんですか。早く道明寺邸に行きますよ」

わ、解ってるけど…桜子も!?
って事は…

「あ、あのさ…」
「みんなもう既に道明寺邸に集まってるんですから。ほら、もう行きますよ」

やっぱりね…