別れの後②


特待生で英徳大学へ進学しても花沢類との思い出が沢山ある非常階段に来てしまう
ここにいるとホッとしたり、悲しくなったり・・・人に見られたら恥ずかしい位、百面相しているかも

「牧野、泣いてるの?それとも笑ってるの?」

えっ!?

「クククッ、今度は驚いてる顔。ただいま、牧野」

は、花沢類!
夢じゃないよね?

「痛いよ、牧野。自分の頬をつねってよ」

痛いって事は現実なんだよね!?
ホントに花沢類だ

「ご、ごめん。お、お帰りなさい、花沢類」
「それじゃ~牧野、時間ないから行くよ」
「行くってどこに?」
「花沢邸」

頭が混乱して何が何だか分からない
何であたしが花沢類の邸に?
それに明日は花沢類、婚約パーティーがあるんじゃなかったっけ?

「え、え~と花沢類。こ、婚約・・・おめでとう」
「牧野、何言ってんの?早く入ろ。牧野のパパもママももう来てるから」

この状況がまるで分からないんだけど・・・
花沢邸に花沢類のご両親にパパとママ!?

「は、花沢類。あたしまったく訳が分からないんだけど・・・」
「牧野、もしかして忘れちゃってない?フランスへ行く時、戻って来たら婚約しよって言ったの」
「えっ?そ、そんなの聞いてないよ」

そ、そういえば覗き込まれた時、何が言ってたような気がする・・・

「うん、行ってらっしゃいって言う牧野を信じて俺、頑張ってきたのに」
「ご、ごめん・・・あの時は花沢類に覗き込まれていっぱいいっぱいになってたから」

はぁ~
あたしってどうしてこんな大事な事を聞いてなかったんだろう
知らずに3年間も思い悩んでたなんて・・・
っていうか、花沢類も悪いのよ、3年間1回も連絡して来ないんだから

「仕方ないでしょ、5年の予定を3年で終わらせるのに必死だったんだから」
「げっ、またあたしやっちゃった?」
「クスッ、牧野、相変わらずだね。そういう所も全部、大好きだけどね」
「は、花沢類ったら・・・あ、あたしも花沢類が・・・大好き」


あの空港で婚約の話をきちんと聞いていたら、どんな3年間を過ごしたんだろう

でも・・・
知らずにいた方が良かったのかもしれない
こんなにも花沢類を愛していると気づけたのだから