Uneasiness①-1


~Rui~

司が暴漢に襲われ、記憶を失った

最愛の女…
牧野つくしだけを忘れてしまった

入院中も退院後も、牧野はどんなに司に罵倒されても健気に通いつめていた
俺達でさえ、司の態度、あの女のせいで殆どっていうか、最近じゃ全然行っていないのに

でもある日を境に、牧野はまったく行かなくなった

その頃からか
俺たちF3の事も避けているような気がする
非常階段にさえも来ない…
たまに学校で会うとよそよそしく、逃げるように行ってしまう

総二郎、あきらも何かおかしいと気付きはじめた
いい加減この状態に嫌気が差した総二郎、あきらと一緒に、牧野の教室へ行った

「「「よぉ!」」」
「ああああんた達、な、何でここに来るのよ」
「牧野に話があんだよ、いいからちょっと来い!」

総二郎がそう言うと

「あ、あたし忙しいから」

と逃げようとする

もちろん俺がしっかり牧野を捕まえた

「牧野いこ!」

牧野が言う『天使の微笑』
ってヤツをする

いきなり牧野の顔がボッ///って真っ赤になって、クククッ、すっごく可愛い

「ああああで、でも…」
「ダメ?」

今度はちょっと寂しそうな顔をした
そう、これをすれば牧野はイチコロだよね
悪いけど今日は逃がさないよ

「わわわわ解った、い、行くから」

ククッ
俺は牧野の手を握り、非常階段に連れて行った

「なぁ~牧野、司と何かあったのか?」

まずあきらが優しく聞いた

「べ、別に何も…」
「何にもなきゃ、まったく行かないって変じゃねぇ?」
「へ、変かな?」

牧野、目が泳いでるよ

「俺らも全然、司のトコ行ってねぇ~から、まったく状況が解んねぇ~んだわ」
「エッ?行ってないの…道明寺のトコ…」
「「そ!」」
「だからお前が最後に行った時の事教えて」
「べ、別に普通…もう道明寺の事は…」

牧野が何か隠しているのは、これで解った
んじゃ~話を変えますか

「ねぇ~牧野、最近どうして非常階段来ないの?」
「あっ…え~とそれは…」
「俺らの事、避けてねぇ?」
「そ、そんな事は…ない…」

牧野、すっごく動揺してるよ
ホントにこの姫は、強情で口を割らないんだから…

「まぁ~いいや、明日ランチ一緒にしよ」
「絶対に逃げるなよ!」
「迎えに行くからな!」

そう言って牧野を開放した

その後
今度は司の邸に久しぶりに行った

「てめぇら、何で俺様に会いに来ねぇんだよ!!!」

挨拶もなしで、来て早々司が叫んだ

「男に会いに行ったてつまんねぇからな」
「「なぁ~」」

ハイタッチ!

「司、あの女は?」
「あ~海の事か?」
「名前なんか知らない」
「もうそろそろ来るんじゃねぇか」

総二郎、あきらが顔を見合わせる

「その海ちゃんって娘と付き合ってんのか、司」
「ま~な」

今度は3人でため息をつく

「なんだよ!」
「司、牧野は?」
「あ~?うるせ~女の事か?」