あ~ここだ!
ママ、ここで撮られたんだ
「ねぇ~陸君、あの写真の場所だよね、ここ。やっぱり病院の駐車場だったね!ママの事全然疑ってなかったけど、実際に解るとホッとする」
うん、僕もあの記事はウソだって解ってても、なんか引っ掛かってて
「月、陸、大丈夫だよ、ママはパパの事が大好きだから心配ないよ」
ねぇ~パパ
普通自分で言わないよ
まぁ~たしかに子供から見ても、ママはパパが大好きだって解るけどね
「パパもママが大好きだもんね!」
出た!
天使の微笑み
ホントいつまでたっても新婚さんみたいだね、パパとママ
コンコン
「牧野お祖母ちゃん!…あれ!?いない…よ」
ホントだ
どこ行ったんだろう
骨折してるから歩けないのに
「検査かな、看護士さんに聞いて…つくし!」
「あっ、類!随分早かったね」
「牧野ママ、大丈夫?」
「大した事ないのよ!ごめんなさいね、心配掛けちゃって。月ちゃん、陸君も遠いのにありがとうね、来てくれて」
「本当に大した事ないから、類。意識が戻ってからは病院は嫌いとか部屋にいると息苦しいから散歩したいとか、今日は退院させてくれってホント我儘ばっかり」
クククッ、良かった
足以外は全然大丈夫そう
「牧野ママ、退院する?手続き取って来るね」
ヘッ!?
パパ、勝手に決めちゃマズイでしょ
「類君、ありがとうね!宜しく」
って、牧野お祖母ちゃんまで
「牧野パパとババ抜きしたいし、久しぶりに牧野ママの手料理食べたいから。つくし、手伝ってあげてね」
はい!?
退院の理由はそれなの、パパ…
「もう類ったら。いつでも退院していいって言われてるから別にいいけど、病院にいた方が安全かなって思ってたのに」
ひき逃げだったから?
それとも
ククッ、牧野お祖母ちゃん、ジッとしてる性格じゃないから、車椅子でもどこか行っちゃいそうだからかな
あれからすぐ退院して、牧野お祖母ちゃんとママ、月が夕食を作っている間、牧野お祖父ちゃんと、パパと三人で、ババ抜きをしたんだけど
どうやったらそんなに負けるの、牧野お祖父ちゃん…
進おじさんも帰って来て、4人でやっても結果は同じ
パパに
「ふ~ん、牧野パパ、それでいいの?」
って言われる度にババを引く
相手がババを引こうとすると、顔がニヤニヤするから、牧野お祖父ちゃんの所からババが移動しない
ククッ、ホント面白い
「陸、明日朝から撮影だからもう寝なさい!ほらパパも何度やったって負けるんだからいい加減諦めて」
「え~後一回だけ…ね」
「ダメ!みんな明日仕事なんだし、類もよ」
「つくしが寝なきゃヤダ」
「もう類ったら///」
はいはい
最後はラブラブですか
ほんの数日しか離れてなかったのに、ホントこの夫婦は…
でもどうせ記事になるなら、こんな風に仲がいいトコにしてくれたらいいのにな
さぁ~て
月も部屋に行っちゃったし、僕も寝よ
今日は案の定、朝から着せ替えごっこ
「あっ、陸君と翔君は無理に笑顔作らなくていいからね」
ふ~ん、なんで?
今までそんなに業とらしい笑顔だった?
「なんで俺様と陸だけ笑わなくっていいんだよ!」
っていうか、翔、僕はその方がいいんだけど
「ハハハッ、君達二人はクールな仕草や表情が大人気でね、笑顔担当はつばさ君と総太君でって事で」
この年でクールって…
まぁ~いいや
普段通りしてればいいって事でしょ
「うん、いいねぇ~その感じ!あっ、翔君、睨んじゃダメだよぉ~それじゃ恐いからね」
ククッ
翔は普段から恐い顔だからね
「イタッ!翔、八つ当たりしないでよ」
「ふん!笑ってんじゃねぇ~よ」
プルルル
プルルル
ピッ!
『類、どうしたの?…エッ…うん……うん…』
あれ?
ママどうしたんだろう、顔色が…
「つくし、どうしたの?」
「す、進が…さ…刺されたって…病…院…行って来る…」
「うちの車使って!月ちゃん、陸君もういいから早く!後はやっておくから、つくしは病院に」
「あ、ありがとう、滋さん」
牧野お祖母ちゃんの次は進おじさんなんて…
「ママ、きっと大丈夫だよ。はい、ハンカチ」
「うん、ありがとう、月」
パパからの電話では、今日フランスから帰国した重役を進おじさんが空港に迎えに行った時に、刺されたらしい
パパも病院に運ばれたとしか聞いてなくて、容態は解らない
もしかして花沢家の人間が狙われてるかも