「入りなさい」
「は、はい…」
うわぁ~
ステキなウエディングドレス!
「気に入って貰えたみたいね」
エッ!?
だ、誰?
とっても優しそうな人
でもどこかで見たことがある気が…
「あ、あの…」
「つくしさんのイメージから私がデザインしたのよ」
それってもしかして…
あ、あたしのウエディングドレスって事?
な、なんで!?
「ちょ、ちょっと待って…」
「つくしさん、早く着て見せて!絶対に似合うと思うわ」
エッ!?
あ…
本当に何が何だかさっぱり解らないんだけど…
も、もしかして楓社長が言った『私に任せて』って…
あたしを誰かと結婚させるって事!?
あ、ありえないつ~の!
あっ
そういえば滋さん、次はあたしの番だって言ってた…
あたしの結婚が前々から決まってたって事だよね
そっか…
あたしが他の人と結婚してしまえば、花沢類とはもう…
それに道明寺とあたしの噂も、花沢類との噂も消える
そういう事か…
やっぱり道明寺はあたしを許してはくれないんだね
桜子も
お祭りコンビも
みんな知ってたんだ…
花沢類も…
だからあの日から連絡がなかったんだ
ウエディングドレスを前々から用意していたんだから、きっとそうなんだよね
「つくしさん、すごくキレイよ」
エッ!?
いつの間にか終わってる…
うわぁ~
本当にステキなウエディングドレス…
あたしじゃないみたい
「さぁ~行きましょうか」
「あっ、待って。はい、つくしさん、ブーケ」
「は、はい…有り難うございます」
ヤダ、あたしったら素直に受け取っちゃって…
も、もしかしてこの人が相手の方のお母様なのかな
本当に嬉しそう…
このまま逃げ出してしまう訳にはいかない…よね
こんな状況だもん
式が終わった後にキチンとお話して結婚はなかった事にしてもらおう
そして…
出来るだけ早く島を出よう
「つくし!」
パ、パパ!?
ど、どうして…
「娘の結婚式にご両親がいらっしゃるのは当然でしょ」
楓社長…
きっと楓社長も困っているはず
結婚は前々から決まっていたのに状況が変わってしまったのだから
「うぅ…つ、つくし…こんな…こんなにキレイになって…良かったな、スズッ…し、幸せになるんだよ、ヒック」
パパ…
パパ…本当にごめんなさい
「お時間です」
ギギギィ…
逃げ出してしまいたい
例えお断りする結婚でも
他の人の為に着たウエディングドレス姿を花沢類に見られたくない
花沢類の前で…
愛を誓い合いたくない
花沢類の前で誓いのキスなんて…
出来ない…
「ま~きの」
イヤ…
「ま~きの」
こんなの絶対にイヤ…
「そんなに泣いたらせっかく化けたのに、クククッ」
は、花沢…類…
「俺と結婚するのがそんなにイヤなの?」
ヘッ!?
何がどうなって…
ど、どういうこと!?
は、花沢類があたしの結婚の相手!?
だって道明寺は…わ、笑ってる
どうしちゃったの!?
「ま~きの、キョロキョロしないで俺だけを見てくれない、クスッ」
「花沢類…」