贅沢な悩み③


「クククッ、司、撃沈だね」


約束の一週間がやっと終わって、牧野に会いたくて朝から非常階段でずっと待ってたのにね 


「あ?類、何んでんなトコで立ち聞きしてんだ」


別に聞こうとしてた訳じゃないけど


「非常階段に司が来るのがいけないんでしょ。いつも俺と牧野がくつろいでる場所なのにさ」

「チッ、んな所で待つんじゃなかったぜ」


悪いけど、司

この勝負は俺の勝ちかも


「よぉ!司。俺らも観察させてもらったぜ」

「あの牧野の様子じゃ、司が一週間いなかった事すら気づいてなかったみたいだな」

「なっ、んな事ね~だろ!お前らちゃんと見てね~な。俺様に久しぶりに会えて、て、照れ隠ししてただけじゃね~か!」


司、それってかなりムリがあると思うけど、どう見てもね


「次は花沢さんの番ですね」

「おっ、桜子か。この計画の発案者はどう思う?」

「私はこんな事をしなくても結果は想像つきますけど。ただ世の中の為にも私の為にも、先輩には早く気づいて貰わないと」


クククッ

三条、まだ司を諦めてないんだ


「んな事しなくても牧野は俺様を好きに決まってるだろ」


俺や司の為にも牧野には早く決めてもらないとね


「はっきりさせる為にも花沢さんは予定通り明日から一週間、先輩に会わないようにして下さい」

「今日からにしろ!1日でも早く類に分からせてやる」

「クスッ、あい」


さっき少しでも牧野の顔が見れて良かった

司じゃないけど、一週間会えないのは辛いからね


でも一週間会わずにいて牧野が俺を好きだって気づいてくれるのならガマンしてもいいかも

もしかすると司の事が好きだって気づくかもしれないけどね


三条の思惑通り、鈍感な牧野が反応するのかな

クククッ

とりあえず司には一週間会わなくても何の反応もなかったけどね