Uneasiness⑧-1


あれから約一年

何とか大学の成績を落とす事なく、無事に進級出来た
翻訳の方も今はスラスラ訳せるようになり、効率よくこなせるようになった
花沢類のお父様の薦めで夏休みには、花沢物産でアルバイトをさせてもらい
その後も

「勉強に支障がない程度にアルバイトを続けないか?」

とお父様に言われて、週に2日だけ花沢物産に行っている

「つくしに会える時間が少なくなる…寂しいよ」

って滋さんにスペシャルハグをされたけどね…

花沢物産のアルバイトはすっごく勉強になるのもあるけど、花沢類と繋がりがある感じがして何か嬉しい
たまに花沢類の話題が出たりするしね♪

あれから花沢類は…
やっぱりというか覚悟はしてたけど
夏休みも帰って来れず、あたしの誕生日に一度だけ帰国してくれただけだった
電話やメールは殆ど毎日くれるけど、正直言って、会いたくて堪らない…

「おい、牧野!」

ゲッ!
何でまた日本にいるの!?
し、しかも花沢物産の前に、そんなダックスフンドみたいな車で乗り付けて…

「ちょ、おい!なに無視してんだよ、牧野!」

ああん、もう!
せっかく極力目立たないようにしてたのに…

「な、なによ、もうそんな車で来られちゃ目立ってしょうがないじゃない」
「あぁ?そんなのどうでもいいだろ、飯食いに行こうぜ」

あっ…ちょっと…
もう!
ホント俺様なんだから…


「ん~美味しい♪」
「ほら、もっと食え」
「うん♪」

ってあたしったら、堪能してる場合じゃないわよね

あれから大学に西田さんが来る事がなくなった代わりに、こうやって日本に出張といっては道明寺が現れるようになったんだよね…

「あのさ、夕食ご馳走になって言うのもなんだけど…毎回出張の度にあたしなんかに会いに来なくてもいいんじゃない?道明寺だって忙しいんでしょ」
「ふん、そんなの気にすんな」
「いや…でもね…」
「お前には迷惑かもしんねぇ~けど、俺はお前といるとホッとするつ~か安心すんだよ」
「道明寺…」
「忘れちまった記憶の中にきっとお前とのそんな安らぎがあったんだろうな…」

やだ…
道明寺…そんな事、言わないで…

エッ!?
あっ…

うう…ん…

いや…だめ…
やめて…

ドン!

「そんな怯えた顔すんなよ…悪かったな、キスなんかして」
「ごめんね…道明寺」
「なんでお前が謝んだよ、頼むから泣くなよ」

道明寺、ホントにごめんね…
あなたは全然悪くないのに
ただ記憶をなくしてしまっただけなのに
あたしが悪いの…
花沢類を好きになってしまったから…

「なぁ~牧野、俺はお前の笑った顔が好きなんだよ、だからいつまでも泣いてないで笑え。まったくブスが余計ブスになるぞ」

もう
道明寺ったら…

「う、うるさい」


ピンポン!
ピンポン!

「ったく、またあいつらかよ」

ガシャ

「「よぉ!」」
「つくし~♪」
「先輩!」

「毎回毎回、お前ら邪魔すんな!」