「ねぇ~母さん、赤ちゃんって飛行機大丈夫なんだよね?」
あっ…
そういえばそうよね
「えぇ、大丈夫だと思うけど、心配なら船っていう手もあるんじゃないかしら」
「なんだ~類、もう子作り宣言かよ。まぁ~あんなけ離れてた訳だし仕方ねぇ~けどな」
子作りって、それは…
あの、え~と…
「間違っても俺らの結婚式にぶち当たる作り方だけは避けてくれよな」
「クククッ、それは絶対にないから。ね、牧野」
あ、あたし!?
い、いきなり振られても…
っていうか、花沢類は知ってる…みたいだね
「つくしさん、やられっぱなしは、あなたらしくないんではなくて」
うん、そうよね
楓社長のいう通り、あたしらしく、ここは一発…
「え~と、今まで騙し続けてきた皆さんにあたしから一つご報告がございます」
「おっ!牧野もサプライズか?」
「フフン、牧野に騙される俺様じゃねぇ~ぞ」
へぇ~
威張っていられるのも今のうちだからね、道明寺!
「ではご報告を…来年、子供が産まれます」
…エッ!?
な、なに?
なんでみんなして呆れた顔しちゃってるわけ?
「んなの、さっき類が子作り宣言したばっかじゃねぇ~かよ」
「やっぱり牧野だよな」
いや…だからそうじゃなくって
「もうここにいるんだよね、牧野」
そう、そうなのよ
フフフッ、花沢類とあたしの赤ちゃんがここにいるんだよねぇ~
「お…お前ら…いつ…」
プッ!
道明寺のその顔
っていうか、みんなそんな…
「花沢さんのパーティーの後…そうですよね」
「あ~そうか。司の女じゃないって処女だったら確信できるよな」
「し、処女って///に、西門!」
「初めてじゃないよ」
ヘッ!?
は、花沢類なにをいう///
「初めてじゃないって…やっぱり処女は司が?」
「なっ…そんな事、あるわけないでしょうが!」
「じゃ~青い瞳の外国人か?」
「はぁ~信じらんない。そんなのありえないっつ~の!」
「それじゃ~類か?」
「あ、当たり前でしょ」
クスッ
牧野ダメでしょ
お祭りコンビの誘導尋問にかかっちゃ
「初めては俺。いつとかは内緒。牧野との大切な思い出だからね」
「花沢類///」
「つ~かよ、司がなにをしようが結局は二人で愛を育んでたって事だよな」
もっと平穏に育みたかったけどね
「司さんより類さんの方が一枚上手だったという事でしょう。つくしさん、あなたも最後にこの私をヒヤヒヤさせるなんて大したものね」
「楓社長…本当にすみません」
「謝る必要はと思いますが、喜ばしい事なんですから。そうですわよね、花沢社長」
「ククッ、さすがはつくしさんだね。とっても嬉しいサプライズだよ、ありがとう」
このサプライズを一番狙ってたのは俺なんだけどね
「つくしさん、ありがとう。本当にこんな嬉しい事ってないわ」
「お母様…」
それじゃ種明かしも終わった事だし、そろそろ牧野と二人きりにさせてもらうから
「牧野、行こ」
「エッ!?で、でもまだ…」
「これからはいつでもみんなと話せるんだし、今日は色々あったから牧野の身体が心配なんだけど」
「花沢類…ありがと」
「おっ、そうか!今日は結婚初夜だもんな。早く二人きりになりてぇ~よな」
「そ、だから邪魔しないで」
「はいはい、解ったから早く行け」
クククッ、牧野そんなに真っ赤にならなくても
せっかくの初夜だけど何にもしないよ
牧野の身体が心配だからね
でも牧野を抱きしめて眠らせて
牧野のぬくもりを感じていたいから
~1年後~
フフフッ
滋さん、大変そう
一年前から美作さんと桜子の結婚式が決まってて、あれだけみんなに避けろって言われていたのに
見事に臨月だなんて、ホント道明寺と滋さんらしいよ
とりあえず予定日まで後二週間あるから大丈夫かな
って言ってもお医者様、看護士さんを何人も引き連れて来るなんて、やっぱりというか、さすがは道明寺だよね
「つくし、重いでしょ。俺が抱っこするから」
「ありがと、類」
「クククッ、今の顔、可愛い」
チュッ!
も、もう///
みんながいるのに
「子供がいるっつ~のに相変わらずラブラブだな、お前ら」
「司のせいで離ればなれだった分、取り戻さないとね」
「チッ!いつまでも言ってんじゃねぇ~よ」
類は何年たっても、何十年たっても、きっと変わらずあたしを大事にしてくれると思う
変わらぬ愛情
それを教えてくれたのは、道明寺…あんただよ
高校の時から本当に変わらない
ううん、あの頃以上にあたしは類に愛されている
もちろんあたしも類を愛している
そして愛し続ける…類と一緒にいられる幸せをかみしめながら
「つくしさん、お久しぶりね」
「か、楓社長!お、お久しぶりです」
び、びっくりした!
まさかいらっしゃるとは…
「つくしさん、子供がある程度大きくなるまで、仕事から離れてはどうですか?」
ヘッ!?
ど、どうして急にそんな事…
「クククッ、つくしのお陰で俺が司に三連勝したからですか?」
「類さん、あなたの実力もありますが、秘書が優れていれば絶大でしょう。本当に嫌な人材を育ててしまったわ。でも…あなたお陰で私の株が上がったのも事実ですけど」
楓社長…
本当にありがとうございます
あの時そのまま日本いたら、こうして類を支える事なんて出来なかった
楓社長のお陰で今のあたしがいる
NYに行かせる事で、勉強に集中させ、学歴を手に入れる
そして類への想いを閉じ込めさせる事で、あたしに仮面をかぶらせた
全てあたしの性格を知った上で…
楓社長は本当にすごい人
「つくし、もうそろそろミルクの時間でしょ」
「あっ、うん」
「俺が飲ませる。もちろんオムツ交換も俺がするからね」
「ありがと、類」
フフフッ
ホントあたしって幸せ者だよね
あの日々は必然だった
そう
あの日々がなければ、この幸せはきっとなかったと思うから
FIN 2010.11.7