未来へ 2年目①


俺が確認した限りでは、牧野の鈍感に撃沈した数、14人…
そして

「僕とお付き合いして頂けませんか?」
「ごめんなさい…あたし、好きな人がいるんです」

はい、これで牧野に立ち向かって撃沈した数、鈍感を、遥かに超え26人…

牧野が断る時

「好きな人がいる」

と言った事で、自分かも?って思ってる勘違いヤローが急速に増えている

「ま~きの!」
「る、類!あわわ、花沢部長」
「今、誰もいないよ」

今年の俺の誕生日プレゼントは、牧野に名前で呼んで貰う事
ククッ、まだどもってる

「も、もしかして見てた!?」
「あい」
「あ、あの…え~と…」
「ん、別にいいよ。見る度に牧野の事、夜イジメるから♪」
「る、類///」

上目遣いで俺を見る
ホント可愛い…

「その顔、誰にも見せちゃダメだよ」

と牧野に軽くキスをして、その場を去る

「牧野さん!」
「はい、あっ相場さん」
「あれ?どうしたの、顔が真っ赤だよ」
「エッ!?い、いえ何でもないですよ、ハハハッ」

そんな会話が後ろから聞こえた
社内の噂では牧野の本命は、この相場っていう人

26才
独身
コロンビア大卒業後
花沢物産入社

この若さで秘書課の総責任者
ちなみに顔、ルックスともにF4と引けを取らない…

~F4ルーム~

「おい、類!牧野またコクられてたぞ」
「ちょ、ちょ、ちょっと美作さん!よ、余計な事、類に言わないでよ!!!」
「フッ、牧野座れば?」

はぁ~あの類の目…
もう美作さんったら!
取り敢えず今は逃げるが勝ち!かな!?

「ううん、あたし調べたいものがあるから、勉強部屋にいる」

そそくさ退散!

「でもよ~マジ牧野、類と付き合ってから可愛いくなったし、鉄のパンツ脱いでから色気は出てくるし…俺でもオッ!ってくる時が…」
「総二郎」
「類こえ~な、睨むなよ」
「T3が守ってるみたいだけど、隙さえあれば男が寄って来るって桜子が言ってたぜ」

大学では講義の他は殆どF4ルームに来てるから安心かなって思ってたけど…
高校上がりは大体、俺と牧野の関係は知ってるはずだし
外部入学の奴等か…
ったく牧野は…心配ばかりかけさせるんだから

「そう言えば会社の方はどうなんだ?」
「会社?」
「例の秘書課の総責任者!」
「クリスマス以来、特に何もないけど」
「じゃ~牧野を諦めたって事か?」
「ん、どうかな」

去年のクリスマスの数日前
外出する為、秘書課の前を通ると、みな出払っている秘書課から牧野と相場って人が話してる声が聞こえてきた
急いでいたから『クリスマス時間ある?』って言うのだけ聞き取れた
その日の夜、牧野の方から

「花沢類、怒らないで聞いてね」

うつ向きながら話してきた

「なに?」
「っていうか…花沢類もう既に怒ってるみたい…」

まぁ~ね
変な事、小耳に挟んだからね

「これ以上怒らせないでね」

わざと話しやすいように、牧野の言う『天使の微笑み!?』ってヤツをする

牧野は真っ赤になりながら

「あのね、クリスマスの日にランチを相場さんと…ダメかな?」

牧野が言うには、きちんと断ろうとしていたけど言葉巧みに操られ、ランチの約束をしてしまったとか
ったく…

「嫌だけど、時間と場所を教えてくれればいいよ」
「ホントに!?花沢類ありがと!後、ごめんね」

あんたの『ありがと』『ごめんね』は聞きあきたよって、あえて言わず

「じゃ~今、牧野イジメていい?」
「エッ!?あっ…///」

それから俺達は牧野のベッドで朝をむかえた


クリスマスの当日
牧野から教えて貰ったレストランに行く
司は煩いから誘わず、こう言うことが好きそうなお祭りコンビを連れて…
レストランに入ると既に2人は席についていた

「花沢部長!」

相場って人が俺に気が付き立ち上がる

「相場さん、デート中ですか?あれ、そちらはたしか総務の牧野さんでしたよね?」

牧野は…
クククッ
パクパク金魚のようになっている

「ははは花沢部長…」
「もしよれしければ、ご一緒に…」
「いやデートの邪魔はしたくないから、ではごゆっくり」

はぁ~
まんまとヤラレタ…
よく考えて見れば、花沢類が素直に行かせるなんて…
もう!
お祭りコンビ!
さっきから笑いすぎだっつ~の!

「結構いい男じゃん!類、大丈夫か?」
「どうだろうね」
「おいおい」
「司より強敵はいないんじゃない?」
「「ま~な」」
「…マジ!?噂をすれば…」
「だな」

「おい!牧野お前こんなトコで何やってんだ?」

ヘッ!?
ゲッ!

ハッ!
相場さん、固まっちゃってる!?

「道明寺財閥の…牧野さん、お知り合いなんですか?」

ウオッ!

「だだだ大学のただの先輩です」
「てめぇ~誰だ!」

ヒョエ!!!

「こここちらは花沢物産の上司で、あああ相場さん」
「類んトコのか、て言うかお前は何やってるんだ?類は知っ『アワワワ、ははは花沢部長でしたらそちらに…』
「「司!」」
「おう!」

「牧野さん、スゴい方とお知り合いなんですね」
「いえいえ、ホ、ホントにただの顔見た程度って感じで…」
「それじゃ~花沢部長とも親しいの?」
「いいえ、そちらもあまりご存知ない…」

うわわ!
日本語が変になっちゃってる!?

「ハハハッ!牧野さんってホント可愛い人ですね」
「ヘッ!?ハッ?エッ!///」
「行きましょうか」
「は、はい」

ようやく脱出出来た…
なんとか誤魔化せたかな!?

それにしてもF4!!!
あ、明日ぶん殴ってやるぅ~!!!

「なぁ~類、牧野何やってんだ?」
「デートじゃない?」
「はぁ!?」

クククッ!
お祭りコンビに説明して貰い納得すると

「ホントアイツはしょうがねぇ~な、わりぃ~俺、行くわ」

と帰って行った
ナイスアシストだったよ、司!

その日夜
牧野はすっごく怒っていたけど
悪いね、牧野
俺の方が一枚上手だよ!
せっかくのクリスマスだからね、早く機嫌直してもらわなきゃ!

俺の腕の中で眠る牧野の薬指に指輪を嵌め

「おやすみ」とキスをし眠りに落ちた


指輪の効果か、クリスマス以来、相場って人は牧野を誘って来ない
でも社内では未だに牧野の本命は相場って人
指輪があるのに大学でも会社でも牧野はモテる…
本人はまったく解ってないけどね…

急に帰国した父さん…花沢社長に呼び出された

「相談があるんだが」
「なに?」
「つくしさんの事でな」
「牧野がどうしたの?」
「重役連中がつくしさんを秘書にしてはどうかってな」

ふ~ん
やっぱりそう言う事か…

総務で各部署に名前と顔を覚えさせ、知名度を上げ、仕事面で成功させて重役連中に牧野自身を認めさせる
父さんのシナリオ通りって事か…

「いいんじゃない」
「英語もフランス語もマスターしたみたいだし…誰につけさせるかだな」
「俺じゃない事は確かでしょ」
「ハハハッ、そうだな!お前達の計画がバレちゃ困るだろ」
「誰にするの?もしかして…」
「まぁ~まだつくしさんは学生だから仕方がないだろ」
「…解りました」
「夏休みから始める、その前に私からつくしさんに伝えよう」