Uneasiness⑫-6


まったく類のヤツ、俺様の前でいちゃつきやがって!

「つかさぁ~なに青筋たててんのよぉ~。ほらグラスが空じゃない、滋ちゃんがワイン注いであげるから」
「うるせ~な、滋!」
「もう、すぐそうやって怒るんだから…ねぇ~つかさ、つくしとはちゃんと話し出来たの?」

見れば解るだろ
きちんと話が出来てりゃ~俺の傍に牧野がいるだろうが!

「ちくしょ!どうしてこうなっちまったんだ」
「ごめんね、つかさ。私があの島になんか連れて行っちゃったから記憶を無くして…」
「滋には関係ない」

もし俺が記憶を無くさなければ、牧野は今も俺の傍にいたんだろうか…
今のあいつらを見てると、いつかは必ず類に奪われちまった気がする

「つかさ?」

いや
俺様が牧野を絶対に手放なすはずはない

「牧野と類が一緒にいるとめちゃくちゃイライラすんだけど、昔から二人の間に入り込めねぇ~とこがある。今も引き離したいのに何だか出来ねぇ~」
「つかさには辛いかもしれないけど、私ね、あの二人を傍でずっと見てきたから思うんだけど、二人とも一緒にいるのが何だか自然なんだよね」
「俺とは自然じゃねぇ~って事かよ!」
「そういうワケじゃないけどさ、ん~つかさの時は何て言ったらいいかな…いつもつくしが張り詰めてて余裕がないっていうか、いっぱいいっぱいだった気がする」

たしかに次から次へと色々ありすぎて、牧野には負担だったかもしんねぇ

「類と俺とはどこが違うんだ?類のトコだって色々あったはずだよな」
「ん~つかさの時とは年齢が違かったせいもあるけど、類君はつくしとの事、誰にも口を出されないように自分自身に力をつけてきたからね」

昔の俺は何も出来なかったからな
でも今の俺なら、誰にも文句は言わせないだけの力がある

今なら牧野を…

「あれ?どうしたんですか、二人とも。落ち着いた雰囲気で話をして、結構お似合いじゃないですか」
「滋と似合うって言われてもちっとも嬉しかねぇ~な」
「ちょっと、つかさ!それはいくら滋ちゃんでも傷つくって」

二人を見てると結構、いい感じなんですけどね

「真剣な話をしているみたいでしたけど、何の話をしてたんですか?」

大体想像はつきますけど

「つかさってばさ、まだつくしを諦められないみたいたんだよね」
「ふん、そんなの当たり前だろうが!」

あれだけ先輩と思いあってた記憶を取り戻したんですから、そう簡単にはいかないでしょうね

「道明寺さん、これからどうするんですか?」
「どうするも、奪い返すだけだ。昔の俺とはちがう、誰にも文句言わせねぇ~力をつけたからな」
「道明寺さん、何か忘れてません?」
「あぁ?」
「力をつけたとかそういう事じゃなく、一番重要なのは先輩の気持ちなんじゃないですか?」

牧野の気持ちだと?
今は類にあるかもしれねぇ~が、んなの俺に向かせればいい事だろ

「記憶を取り戻したんだ、牧野の気持ちも俺に戻るだろ」
「先輩は道明寺さんが記憶をなくした後、一旦気持ちの区切りをつけて一人の男として花沢さんと道明寺さんを見た時、道明寺さんじゃなく花沢さんを選んだんですよ」
「そうだよね、記憶をなくしたって、つかさはつくしに言い寄ってたのに類君を選んだんだもんね」
「お前ら俺様が邪魔だって言いてぇ~のか」
「私は先輩には本当に幸せになってもらいたいだけですよ。昔に花沢さんがしたように見守るのも一つの愛の形なんじゃないですか」

あぁ?
俺様に類みてぇ~な真似しろって事か?

「おい、司!なにハーレム状態してんだよ、こっちで一緒に飲もうぜ」
「あぁ」
「道明寺さん、今の先輩達をもう一度きちんと見てみて行動して下さいね」

今の状態を壊すなって事か?
ふん!