心の扉⑩-3


「牧野!てめぇ~何で俺様がやったドレスを着てねぇ~んだ!」


げっ!

ど、道明寺


「つくし~!」

「う、うげっ・・・し、滋さん、くるしい・・・ハァ~ハァ~」

「だから気をつけてって言ったじゃないですか、先輩」


さっき桜子が言ってたのはこの事だったんだ

会う度にスペシャルハグなのをすっかり忘れてた


「つくし、すっごく似合ってるよ、そのドレス!つくしらしい」

「ありがとう!滋さん、久しぶりだね」

「牧野、俺様には挨拶もなしか!」

「あっ・・・ど、道明寺も久しぶり」

「ほら先輩、川島さんがさっきからビックリした顔して待ってますよ」


い、いけない!

すっかり忘れてた


「ご、ごめん。あたし行くね。桜子、今日はホントありがとう」

「ま、待て!まだ話が終わって・・・」

「つくし、また後でね」


たった数分の出来事で頭がパニクっちゃったよ


「川島部長、すみません」

「いやいや、道明寺司と大河原のご令嬢・・・本当に牧野さんの周りは凄い人達ばかりなんだね」

「ハハハッ・・・ホント自分でも不思議なくらいで」


ド貧乏のあたしの周りに超セレブばかりなんてホントありえないよね


「おっと、もうパーティーが始まっちゃうね、行こう」

「は、はい」

「さっき大河原さんが言ってたけど本当に良く似合うね、そのドレス」

「あっ、すみません。せっかく頂いたドレスを・・・」

「ううん、そのドレスの方がつくしさんらしくていいよ」


えっ?

つ、つくしさん!?


「か、川島部長、な、名前!?」

「パーティーの時に名字じゃ、堅苦しいからね!あっ、プライベートの時もこれから名前で呼ぶからね」


プライベートでも?

な、何で!?


「あれ?つくしって呼び捨ての方がいいのかな」

「なっ、そんな・・・え~と、さん付けでお願いします」

「ハハハッ、解りました、つくしさん。では行きましょうか」


何だかいつも川島部長のペースに嵌められてる気がする・・・

でもまぁ~いいか

プライベートで会う事なんてあまりないと思うしね


「おい、三条。牧野といるあの男は誰なんだ?やけに仲が良さそうだけど」

「つ~か、司と大河原が一緒ってどうなんてんだ?」

「お二人共何も聞いてないんですか?とは言っても私も一昨日、花沢さんから聞くまでは知らなかったんですけど」

「類から?俺ら何にも聞いてないぜ」

「パーティーが始まっちゃうんで、手短に・・・先輩はNYへ行って直ぐに道明寺さんと別れて、今は花沢物産であの男、川島部長の秘書をしているそうです」

「「はぁ~?」」