「今、俺の目の前にいる」
「へッ!?め、目の前って…あたししか…あ、あたし!?」
そんな驚かなくても、クスッ
「今頃、牧野は何してるだろう。非常階段で大声で叫んでるのかなとか、司とまだ闘ってるのかなとか、気がついたらいつも牧野の事ばかり考えてたんだよね」
まかさ司が牧野を好きになるなんて考えもしなかったけど
「ご、ごめんなさい…あたしが道明寺に宣戦布告なんてしたから花沢類に心配かけちゃって…」
ホントあんたって鈍感
なにも想ってない女の為に心配だからってわざわざフランスから帰って来るわけないでしょ
「牧野が司を好きだったらどうしようかって心配はしてるけど」
今はね
司、強引だから、牧野がフラフラっといくんじゃないかってさ
「ヘッ!?そ、そんなのありえないっつ~の!」
「ホントに?」
「当たり前でって…花沢類…顔近いんだけど///」
牧野、可愛い
そんな顔を見て、司、牧野に惚れちゃったのかもね
「良かった。まだチャンスはあるみたい」
「チ、チャンスって…!?」
「牧野が好きだから戻って来たんだ。牧野を手に入れる為にね!クククッ、俺、男だから」
あれ?
そんなビックリする事だった?
「う、うそで…キャッ!」
「うそじゃないよ。こうして牧野を抱きしめたくて戻って来た」
あんたホントに小さいね
ホント俺って何やってたんだろう
こんな小さいあんたをあの司と闘わせたままフランスに行っちゃうなんてさ
「は、花沢類には静さんがいるからって…あ、あたしフランスに行くように後押ししちゃったし…だから…」
「だから?」
「諦めなきゃって…あっ…んん…」
良かった、間に合って
こうして牧野を抱きしめて、キスしたかったんだ
「は、花沢類…///」
「ダメだよ」
「エッ!?」
「これからはそんな可愛い顔、司に見せたらね」
「あ~~~!」
プッ!
相変わらずなんだから
「司の事なら大丈夫だよ」
「で、でも…」
「もしかして司と何かあったりとかした?」
「あ、あるわけないでしょうが!」
あったらとしたら俺が司を許せないけどね
「じゃ~行こ」
「行くって、どこに?」
「ラウンジ」
司に早く牧野の事、諦めてもらわないとね
司、結構しつこそうだからさ
「ちょ、ちょっと、花沢類…」
「俺が守るから。俺を信じて」
チュッ!
「花沢類///み、みんな見てるのに」
そっか
さっきは口に出して言わなかったんだっけ
「牧野は俺のものだって見せつけないとね。司以外にも牧野の事が好きなヤツ、いるかもしれないから」
「そ、そんなの絶対ない!」
そうかな
ほんの数週間会わなかっただけで、牧野すっごく可愛くなっちゃったのにね
「良かったよ」
「そりゃ~あたしはモテないけど、花沢類それちょっとヒドくない?」
「今まで目立たないようにしてくれてから、みんな気がつかなかったんだよね。牧野がこんなに可愛いってさ。良かった、俺が先に気がついて」
ある意味、司に感謝しないとね
牧野の殻を取っ払ってくれたんだから
「え、あ、なっ///そんな恥ずかしげもなく…は、花沢類だけだよ。そう思ってるのは///」
ホント自覚がないんだから
この先、結構大変かも、俺
「おいおい、お前らどこ行ってたんだつ~かどうなってんだ?」
「おっ!お手てなんかつないじゃって。もしや類と牧野…」
クククッ
司、既にファイトモードだね
「おい、牧野!いつまで類と手つないでんだ。こっちに来い!」
行かせるわけないでしょ
司も鈍感だよね
手をつないで現れたんだから、少しは察してもいいのに
「ど、道明寺…」
「類、てめぇ~早く牧野を離せ」
「なんで?牧野は俺の彼女だし、手つないでたって別にいいでしょ」
「は、花沢類///」
まったく牧野は
さっき言ったのに、そんな可愛い顔、司の前で見せるなって
チュッ!
「なっ…る、類!てめぇ~、なにしてんだ!俺様と牧野はつき合ってるって言っただろうが!」
「牧野はつき合ってないって言ってたけど。司が勝手に言ってるだけだって」
「チッ!まぁ~…つ~か、類、お前には静がいんだろ」
そうか、ここ着いた途端、司と牧野が肩組んでたから言いそびれちゃったんだ
「静とは終わったっていうより、始まってもなかったけど」
「だ、だからって何で牧野となんだ」
「好きだからでしょ」
「ふん、牧野は俺様が好きなんだ。悪いが、類は諦めてくれ」
あっ、そういえば…
さっき聞いてなかった
「牧野は俺の事好き?」
「は、花沢類、いきなりそんな…///」
「牧野は俺様の事が好きだって言っただろうが!」
「ちょっと、道明寺!なに勝手な事言ってんのよ」
「ふん、なに今更照れてんだ」
「はぁ!?あのね、あたしが好きなのは花沢類なの!花沢類はあたしの初恋の人。だからあんたなんか何とも思っての。解った?」
ふ~ん、そうなんだ
俺が牧野の初恋の相手なんだ
嬉しいよ、牧野
「司、悪いけど、そういう事だから。邪魔しないでね、クスッ」
「チッ!俺様は諦めねぇ~からな。覚えておけよ。絶対に奪ってやるからな、類!」
う~ん
やっぱりっていうか
ホントしつこいからね、司は
でも相手が牧野だからかもね
クククッ
こんな最強の女、そうそういないから
「牧野、これから授業でしょ。終わったら一緒に帰ろ」
「うん!あっ…」
チュッ!
「お、お前ら、俺様の前で…い、いい気になるなよ、類!」
司、暇さえあれば邪魔しに来そうだね、クスッ
でも早く諦めた方がいいかもよ
牧野は手放さないから、絶対にね
俺が本気で好きになった女だからさ