心の扉⑩-2


「いつも思うんですけど、先輩って本当に化けますね」

「アハハ・・・自分でもびっくりだよ」

「そう言えばさっき電話があって滋さんも道明寺さんと一緒にもうそろそろ着くみたいですよ」


先輩の一連の事といい、滋さんが道明寺さんと一緒に出席する事といい、みんな連絡して来ないからまったく行動が読めないんですけど


「滋さんに会った時、気をつけて下さいね」

「気をつけるって何を!?」

「解らないなら別にいいですよ。時間なんで行きましょう、先輩」


まずは新たな男・・・川島部長

花沢さんの話だとF4とまではいかないけれど、パーフェクトな人物らしい


会社では先輩の上司

花沢さんの婚約者の幼なじみ・・・

婚約者と先輩が同じマンションに住んでいる

あまりにも偶然が揃い過ぎている気がする


「桜子、あの人が川島部長だよ。すみません、お待たせしました」

「いや、今来たところだから。あれ?そのドレス・・・」


確かに容姿はパーフェクト


「すみません。私が先輩のドレスにジュースをこぼしてしまって、それで違うドレスを・・・」

「君は・・・」

「初めまして。三条桜子と申します」

「もしかして・・・あの旧家の三条家のご令嬢かな?」


三条という名前だけでよくお分かりですね


「はい、先輩とは英徳からずっと仲良くさせて頂いています」

「やっぱり・・・本当に牧野さんは凄い方達と知り合いなんだね」

「ハハハ・・・」

「三条さん、これから会う機会が増えると思うからよろしくね」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


人当たりも、話した感じもいい

セレブで頭も良くてあの若さで花沢物産の部長

確かにパーフェクト・・・


「そう言えば桜子は誰とパーティーに出るの?」

「美作さんとですよ」

「も、もしかして桜子・・・」

「お付き合いはしてません。色々と楽なのでお願いしただけです」


先輩の事で大変なのに男にまで気を使ってられませんから


「ハハハッ、何だか牧野さんの方が三条さんより年下に見えるね」

「確かに桜子の方がしっかりしてるもんね」

「いつまでも先輩のお守りは出来ませんからね」

「大丈夫、僕が守るから」

「なっ、川島部長、またあたしをからかって!」

「ハハハッ」


随分と仲が良いですね

もしかして本気で先輩の事が?


でもこの人

何となく私と同じ匂いがする・・・