花沢家の危機③


バン!

「進!…」
「姉ちゃん、ここ一応病院なんだから静かに入って来てよ」
「す、進!?あんた大丈夫なの?」
「つくし様、私のせいで大変申し訳ありません」

なんかこの重役さんを庇って、進おじさん、腕を刺されたらしい
大したケガじゃなくて、ホント良かった

「何をおっしゃってるんですか、小川常務にお怪我がなく安心しました」
「小川常務、長旅でお疲れの上、この様な事で…本日はご自宅にお戻りになられてごゆっくりして下さい。車の手配をしておりますので」
「牧野君、何から何までありがとう。犯人も捕まってる事だし、今日は自宅に帰るとするよ」

こんな時だけど、進おじさんって仕事モードの時は、なんかカッコいいね


バン!

「進さん!…」
「美帆ちゃん、静かに」
「あ、ごめんなさい…」

って誰?
すっごく可愛い人だけど、もしかして…

「進…え~と、どなた?」
「う~んと///まぁ~その~か、彼女かな///」

へぇ~
進おじさんにそんな人がいるなんて、初耳
ほらママも、ククッ
固まってる

「あの中川美帆と申します。は、はじめまして///」
「へっ!?あっ、こちらこそはじめまして…っていうか進に彼女がいるなんて…あんたなんで隠してたのよ」
「ハハハッ、まぁ~色々とね…」

この美帆お姉さん
進おじさんの高校の同級生で、卒業してから付き合い始めたらしい
花沢の力を借りずに、アルバイトをしながら大学に通っている進おじさんをずっと支えてくれた人
でもママと同じ一般家庭の人だからって、美帆お姉さんが気にして、隠し続けて付き合ってたって

それにしてもやっぱりママって鈍感
普通気がつくでしょ、こんだけ長く付き合ってるんだから

「美帆さん、一般家庭だからって気にする事ないのに!あたしなんか知っての通りド貧乏出なんだから」
「クククッ、つくしだってずっと気にしてたよね、庶民だからって」

あっ、パパ

「花沢副社長、ご心配お掛けして申し訳ありません」

ククッ
進おじさん、いきなり仕事モード?

「進、やめてくれない、会社じゃないんだから」
「ねぇ~類、こちらの美帆さんね」
「高校卒業してから付き合ってる進の彼女でしょ」

エッ?
パパは知ってたの!?

「花沢さん、知ってたんですか?」
「普通解るでしょ」

ククッ
ママは全然、気がつかなかったけど
さすがはパパだよね

「で、いつ結婚するの?」

ヘッ!?
パパなんでいきなり
そりゃ~随分待たせているって感じだけど

「いえ、そんな結婚なんて…私とじゃ不釣り合いですから…」
「家なんて関係ないよ。ただ今日みたいに危険な目に合う事はあるけど。でも愛情に不釣り合いなんてないでしょ」

そうだよね
パパとママを見てると、ホント家とかお金とか関係ないと思う
未だにママは、勿体無い攻撃凄いし…

「そうよ!進、あんたね、何年付き合ってるのよ。いつまで美帆さん待たせるつもり?もう勝手に結婚式決めちゃうからね!」
「ちょっと勝手に決めないでよ、姉ちゃん。俺まだプロポーズもしてないのに」

ククッ
進おじさん、思い切ってここでプロポーズしちゃえば?
きっとうまくいくんじゃない?

「美帆ちゃん」
「は、はい」
「花沢さんの言う通り、これだけ大きな会社だから、これから先、危険な事に巻き込まれかもしれない。でも美帆ちゃんの事は俺が必ず守るから…俺と結婚してくれる?」
「進さん…私は守られるだけじゃ嫌なの。私も進さんと一緒に戦います!え~と、だから…これからも宜しくお願いします///」

「プッ!つくしと似てる」
「ちょっと、類!」

ホント、ママっぽい
進おじさんって、シスコンだったんだ、クククッ


この数日間で、ホント色んな事がありすぎたけど
最後は嬉しい事があったし
クククッ
進おじさんの恋バナ!

でもパパの会社…花沢物産を継ぐっていう事が、どれだけ重みがあるか
みんなを守るっていうのがどんなに大変か、少しだけど解った気がする

進おじさんを刺した犯人が自白して解ったんだけど
犯人の経営してる会社
道明寺財閥や花沢物産ほど大きくはないけど、数週間前に、商品開発部門だった子会社を道明寺財閥に買収され、大打撃を受けて倒産寸前まで追い込まれてたらしい

そこで社運をかけて挑んだフランスでの入札事業を花沢物産に取られまいとして
まずは、牧野お祖母ちゃんのひき逃げ事故を起こして、その事業に携わってるパパとママを日本に行かせるように仕向けた

うなぎの特売も、牧野お祖母ちゃんを外に連れ出す仕掛けの一つ
でも上手くいかなくて、ママを尾行している時、偶然あの写真が撮れて
道明寺財閥の恨みもあって、ママと司おじさんのスキャンダルを流したって

クククッ
司おじさんがめちゃくちゃ書かれてた理由が解った

あと、そうすれば愛妻家で有名なパパが、もしかすると日本に行くかもしれないって、思ったらしい

結局は、すべて上手くいかなくて
花沢物産に事業を持っていかれ、会社は倒産して、犯行に及んだって
本当は花沢家か、道明寺家の誰かをって考えてたらしいけど
みんな、警護や警備が厳しくて手を出せず
今回、フランスで事業に携わった関係者を狙ったんだって

たまたま、進おじさんが空港に行って、巻き込まれてしまっただけみたい

今回の件で、倒産した会社の社員を道明寺財閥と花沢物産で、出来る限り雇用したらしい
さすがパパと、司おじさんだよね

「牧野パパが失業中、大変だったから。ね、つくし」
「ハハハッ、ま~ね。高校生にして一家の大黒柱だったからね」

ママも進おじさんも、ホント苦労したんだ
牧野お祖父ちゃんを見れば、何だか想像出来るけど…
クククッ
でもよくこんなに優秀な子供が産まれたよね

「次に日本に帰る時は、進の結婚式かな。フフフッ、楽しみ!」

ママその時は是非とも、撮影は勘弁してね
今回は、こんな事件があったから少しで済んで良かったけど


数ヵ月後…

「類!やっと進の結婚式が決まったって」
「進、クククッ、ようやくご両親に挨拶出来たんだ」

仕事中の進おじさんは、バリバリ出来る感じだけど普段だと…
クククッ
しどろもどろで、ずっこけてる気がする

「月、陸、またその時、撮影があるから宜しくね!」

はいはい
やっぱりね…

「陸は特にね!」

エッ?
僕だけなんで?
月の方がいっぱい洋服着るでしょ

「陸君だけなんで特になの、ママ」
「もの凄く苦情がきっちゃって大変だったのよ」

苦情って…僕、なんかしたっけ?

「クククッ、人気者だね、陸は」

パパまで…もうだから、一体なんなの

「前回のカタログでね、陸が全然載ってないって電話が殺到!ホント大変だっんだから」

アイドル雑誌じゃないんだし、別に載ってなくたっていいじゃん
ホントはやりたくないんだし

「月の日本の友達も言ってたよ、この間F4ジュニアの人気投票が雑誌に載ってて、陸君が一番だったって」

そんなの勝手に決めないでくれない
でも…

「月、誰がビリだったの?」
「あ…え~と…翔君だったかな?」

はぁ~
その雑誌、翔が見てなきゃいいけど…
今度の撮影の時、また八つ当たり確実だから